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2008年07月16日

made in Italyが強い理由-『イタリア式ブランドビジネスの育て方』

■服好きからビジネスマンまで、読んでおきたい一冊

イタリア式ブランドビジネスの育て方イタリア式ブランドビジネスの育て方
小林 元

日経BP社 2007-11-21
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なんだかんだ言ってもmade in Italyを見ると安心感がある、高級感がある、
こうやって日本人は、いつの間にか育てられてきました。そもそもなんで
made in Italyは強いの?というのを解説しているのがこの本、
『イタリア式ブランドビジネスの育て方』。ちょっと心理学的要素も入りますが、
丁寧に理由が書かれていて、サイズもコンパクトなのでサクっと読めます。

そして、made in Italyが強い理由を説明した後、日本のブランドのラグジュア
リー化はどうしたらできるかについて説明をしています。

 

この本の一貫として主張していることは、3つに分けられます。

1】イタリアのラグジュアリーブランドの商品の価値は、40%が商品、30%が
ライフスタイルの提案、30%がイタリアという国が持つイメージ。

2】日本には仏教哲学、わびさびに代表される深い精神性を備えた文化
がある。その価値は日本人よりも世界の知識人のほうが認めている。日本
の経営者はもっとこの文化を知り、胸を張って売れ。

3】柄物のタオルに群がるマスに溺れず、上質な無地のタオルのよさを分かる
人を育てよう→「圧倒的に上質なテイスト、高価格、わずかに品薄」これが
キーポイント。

 

<目次>

1章日本発ラグジュアリーブランドはいまだ存在しない

2章消費者は変わった

3章日本がQCDモデルを卒業するとき

4章イタリア人の手で開花した東レの極細繊維

5章イタリアはいかにしてラグジュアリーブランド王国を創り上げたか

6章中小企業間の連携による日本のラグジュアリーブランドの芽生え

7章ジャパンクール

8章大衆が日本文化創造の主たる担い手だった

9章日本発ラグジュアリーブランドの創造に向けて

『イタリア式ブランドビジネスの育て方』を読んでいて、made in Italyが強い理由
は、根本的に生産・販売のコンセプトが日本より顧客起点であることにつきます。

日本は戦後、高度経済成長期を経験し、アメリカ型のビジネスモデル品質(Quality)
に優れ、コスト(Cost)の安い製品を、短納期(Deliverry)で供給するQDCモデルが
流行りました。それをもっと効率的に行ったのが、ギャップやユニクロなどのSPA
(製造小売)というモデルです。これで日本人は満足していたんですが、21世紀に
なって変わった。崩壊したということが書かれています。

日本の人口減少も相まって、モノが余る時代になった昨今、「欠乏社会→意味社会」、
「生活の量→生活の質」に変わった、と述べられています。よって、個を大切にし、
個のライフスタイルあった特品づくりが大切だと主張されています。画一的な商品、
コモディティはもう消費者には受け入れられないということですね。

その個に特化した経営をしてきたのが、イタリア式マーケティング。感性マーケティング
と言っています。商品の持つ機能性(用)と生活者のライフスタイルや価値感(美)の
創造と提供こそが大切であって、それを実現するためにはマスマーケティングは無理で、
リッチ層か順リッチ層に訴求するという考え方です。

この美について、具体的に言うとルネッサーンス♪ではなくて、イタリア・ルネサンス期の
思想「人間主義の開花こそが美」ということです。これを、イタリアのラグジュアリー
ブランドは取り入れて、世界へと拡がった。マスじゃダメなんです。個なんです。

そして、自我を抑制する熟成したイタリア市民が創り出すデザインは、共生のデザイン
と呼んでいます。つまり、イタリア人はドレスコードだけでなく、自分を良く知っていると。
それを、イタリアの企業はよく熟知して見合ったアイテムを供給していったことに、
お互いの合致があった、ということが言えると思います。

イタリアとは違うけど、日本人もだんだん個の価値感、ライフスタイルを重要視する
ようになり、同じ柄モノなんかは嫌がりますよね。個性に目覚め、自分の感性
に合う商品を求める消費者が出現したというのが大きい。差別化なんていう言葉じゃ
おさまらなくなってきたわけで、これらの背景から上述のイタリア式ブランドビジネス
「用と美の融合」が日本でも重要であることが、続きに書いてあります。

ブランドで言うと、まさにジョルジオアルマーニが代表的な存在。イタリアの美の代表
格として説明されています。当時、紳士用ジャケットが神聖だった状況のなか、革命
を起こしたのです。それはジャケットの脱神聖化、リラックス化、大衆化です。黒、
ベージュ、グレーなどイタリア大衆が、生活の中心にしているシックなものに仕上げた。

しかし、大衆といっても質と価格は、アッパーミドルクラスより上の層。装いの大衆化
に成功したのです。人の装いは人間らしくなければいけないという、これまたルネサンス
時代の哲学を見事に表現しました。この辺は、服好きの人には面白いと思う。

この美というのが、日本だと江戸文化、仏教哲学、わびさびなどのことです。
現在で言えば、宮崎駿アニメのことが日本を代表する美の例として載っています。

僕も、かねてからドメスティックブランドには可能性がたくさんあると思っていました。
日本人の技術力の高さと創造力の高さは、世界にもっと主張してもいいと。その
ためには、アメリカ型経営でおなじみの短期経営ではなくて、長期的に辛抱強く
ブランドを育成していくプロセスが必要なのかなぁ、と思いました。でも、日本の99%
のファッションブランド企業が、明日をどう乗り切るか、という経済環境なのも事実で、
この本にそのことをが載っていないのが、ちょっと残念ですが、全体的にかなり分かり
やすいので、オススメです。

 

posted by No.9 at 18:22 | Comment(2) | TrackBack(0) | ブログ 情報など | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
先生の著書を引用させていただいて、プロモーションの視点からブランド構築について論文を書きましたが、なかなか共感を得ることはできません。先生のように文化や社会に造詣を持つブランド論は少ないです。一度私の論文を批評してください。イタリアのラグジュアリーブランドを参考に日本型ブランドの構築について考察しました。
Posted by 中野恭子 at 2016年05月10日 16:43
>中野恭子さん、コメントありがとうございます。
こちらは、先代のブロガーの武欄堂さんが書いた記事なので、お返事できかねます。
ご希望に添えず、申し訳ありません。
論文制作、頑張って下さい。
Posted by No.9 at 2016年05月10日 22:16
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