■カンヌ国際広告祭他、3大広告賞総なめ
世界のテレビCMを超えたWEB広告「UNICLOCK」・ウェブ開発物語/IT PLUS
時報のリズムに合わせ、ユニクロの服を着た女の子たちが無表情で踊り続ける――。ファーストリテイリングのウェブ広告「UNIQLOCK(ユニクロック)」は今年、「カンヌ国際広告祭」など世界の3大広告祭すべてのインターネット部門でグランプリを勝ち取った。2007年6月のオープンからこれまでのページビューは212カ国合計1億3000万を超える。
前評判通り、インターネット広告を審査する「サイバー部門」でUNIQLOCKがグランプリを受賞。勝部氏と田中氏は3冠の達成に喜んだが、さらに大きなサプライズが控えていた。メディアの枠を超えてアイデアを審査する「チタニウム部門」でUNIQLOCKがグランプリに選ばれたと関係者がこっそり教えてくれたのだ。
勝部氏が「皮膚感覚で嬉しいと感じた。ハートで、かな」と振り返るのも無理はない。チタニウム部門はテレビCMから新聞、屋外広告まですべてを含めた広告全体のグランプリとも言える賞だ。大会の事務局側が審査員を全員選出するという唯一の部門で、日本人の審査員もいなかったという。 |
サイバー部門だけでなく、全ての広告部門を代表するチタニウム部門でも、
1位を獲得。まさに広告の王者になったわけです。また08年7月の国内売上高
は、2ケタ増・・・ちゃんと売れているんです。ちなみに百貨店や小売店は、
軒並み売上を下げています。この一連の広告を超えた販売促進戦略が成功
した背景には3つの理由があると思います。
1】YouTubeやブログ、はてななどのweb2.0を使って消費者主導にしたこと
2】結果的に複雑系(マーケティング)を採用したこと
3】既存の広告活動をしなかったこと
1】これについては、以前詳しく書かせて頂いた、
「ユニクロ」から見えたwebマーケティング2.0の写像を読んで頂けたら幸い
なんですが、web2.0を使ったUNIQLOCKのブログパーツは大き
かった。僕も面白くてブログに付けましたが、ブロガーにとって、いろんな
プラス効果があるんです。1つはSEO。ブログパーツを付けることによって、
世界中のサイトがUNIQLOCKの世界地図を通して、つながるんです。
「これなんて最強トラバ?笑」という思いもあれば、「何これ・・・???」という
好奇心に駆られるんです。
特に、「はてな」で何の告知もなく流れたUNIQLO JUMPは、あっという間に
ブクマ数が三桁。ブロガーと読者自身に告知をしないで、勝手に好き
なように使ってくださいな、読んでくださいな精神がよかった。最初
UNIQLOCKなんか、ユニクロが時計ラインを作るってネットで話題になった
んですよ(笑)そのくらい何もユニクロ側からの説得的コミュニケーションは
なかった。全て、web2.0ユーザーまかせ。 ブログのクチコミによる情報拡散。
こういうもやもやとした特にコンセプトがなかったことがよかった。コンセプト
は消費者が作ればよい、ということ。
2】今日の消費者行動は、複雑多岐に渡り、マーケティング活動は論理的
かつ科学的に見ていくのが困難になっています。特にweb上では何が起こ
るかわかりません。だから複雑なことを複雑なまま大きく捉えて考えていく、
複雑系という概念が出てきたんです。 要するに、非線形関係であると。
実際、新しいメディアがどれだけページビューを稼げるかは未知数だ。ユニクロにとってはリスクをとることになる。「なかなかこういう段階で話を進められる関係は作れない。多くの場合は、クライアントを納得させるために理屈を詰めることで面白さが段々と薄れてしまう」と田中氏は話す。 |
広告主を説得するため、既存の広告活動(仮説をつくる→データを取る
→実証分析をする→分析結果を基にマーケティング戦略を立てる)という
90年代から流行りの実証分析による論理的で理論武装で固められた
マーケティング活動を取らなかった。
もちろんデータ解析もしているでしょうが、原因と結果を無理やり計量化
して、理屈をこねて販売促進につなげても何が原因(X)で売上に関わって
くるかという一連の流れが、もうカオスでわからない状況にある限界を
感じたんだと思います。まさに風が吹けば桶屋が儲かるですよ。
それならマーケティングをデザインする、もっと感性を働かせ柔軟性に富んだ
クリエイティブなマーケティングをする、仕掛ける側が価値を提供するのはなく、
お互いでユニクロの価値を共に創って行く戦略を選んだ。ケセラ・セラじゃない
ですが、仕掛け人も仮説がないだけに結果がワクワクするような、そんな
ことを感じる広告活動をする
3】以上のことから、結局ユニクロのサイバー部門のチームは、消費者に
よって広告活動を一生懸命してもらって、本人達はシステムを管理する
だけ。もちろんリスクを背負いますが、今までにないある種神秘に満ちた
UNIQLOCKのCMはweb2.0使用者のツボとなりました。カンヌの審査員は、
「催眠術にかけられるようだ!」とあの無表情のダンスとリズムにやられて
いたそうです。
SEOにもつながりますしね。あのころは、ファッションとなんの関係もない
ブログにも貼られていたのを憶えています。
結果的に、この一連の流れがユニクロというメディアに変化した、という
ところが、既存の広告活動と違うというところです。
多大な広告費をかけて、一生懸命一方通行の販売促進をして華麗
にスルーじゃ勿体無いですからね。
inputを極力おさえて、outputを最大限に増やすという考え方からし
ても非常に効果的でした。
POPEYE9月号に、カンヌ国際広告祭の模様が載っているので、読んで
頂きたいと思います。写真と長文のレポートが載っています。
最後に。マーケティングを考える上で、科学的根拠、数字を無視すること
はできませんが、マーケティングを自由にデザインしてみるといった、
発想、感性、遊びが入る余裕が必要だということを、ユニクロは証明した
のかもしれません。
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