■将来スーツをオーダメイドする人たちは必読の本
服部晋の「洋服の話」 (ラピタ・ブックス)
洋服に関する薀蓄の本はたくさんあって、私もいくつか紹介させて
頂きましたが、ひょっとしたら「洋服の話」がトップの本かもしれない。
著者の服部晋氏は現役の金洋服店のビスボーク・テーラー(オーダーメイド
の仕立て人)。洋服について、皇室御用達の仕立て人服部晋氏の経験
から、洋服の基礎と歴史、そしてテーラーだからわかる現代の機械生産
と高品質志向の間の矛盾について、深い洞察をされている珠玉の一冊
です。将来、スーツをオーダーメイドしたい人は、必ず読んでおいた方が
よいと思います。服部晋氏と金洋服店に関しては、
こちらからご覧になれます。容姿も紳士的な素敵な方です。
目次
生地の話 |
「洋服の話」すべてを通して服部晋氏が語られていることは、とにかく
機械生産の行き詰まりとハンドメイドの素晴らしさです。コンピュータ
で寸分違わずカッチリしたスーツを作るというより、ハンドメイドならでは
のちょっとした「ズレ」と温もり、アイテムの寿命の長さを求めることの
ほうがよいんじゃないですか?ということです。決して機械生産を否定
しているわけではなくて、ハンドメイドのほうが優れているんじゃないか
?ということを、論理的かつユーモア溢れる口調で説明されています。
この考えは、まさに音楽と一緒。442Hzでバッチリ決まった平均律の
ハーモニーよりも、若干ズレている純正率のほうが倍音が出て、
人間にとって心地よいα派が届くという現象。数字は大切ですが、
感覚、感性こそが「机上の空論的愛を追い越してゆけ」by福山雅治
「想」なわけでございます(意味不明でしたらすいません はまっている
もので 笑)。
コンピュータの計算による機械作りは1+1=2なんですが、
ハンドメイドは1+1=3にも5にもなるということでございます。
さて、この中で、今回は「生地の話」を読んだ感想としてご紹介させて
頂きたいと思います。数回にわたってご紹介したいほど良い本な
ので。
【生地の話】糸番手、品質番手、生地の種類・特性を知ること
1、糸番手、品質番手、スーパーファインウールの意味を知る
ウールという生地は英国だけで、40種、4,000万頭だそうです。
僕自身、あまりにも知らない生地がありすぎてこの時点で凹むん
ですよね(笑)それはそうと、最近流行のスーパーファインウール
です。Super'100Sというやつです。これは、100番手の糸で織られた
生地の意味で18.5ミクロンという細さで織られた生地のことを指す
そうで、0.5ミクロン細くなると10番手ずつ数が増えていくことです。
できた当時は驚きだったそうですよ。こんなに細い生地ができた
のか、と。
ところが、同時に生地の表現があやふやになったそうです。
生地の表現には2つあって、糸番手と品質番手といいます。
糸番手=糸の太さ、数が多いほど細くなっていく。
品質番手=この番手の糸をつくるのに適した毛
そして、Super100'S≠100番手という可能性があるというんです。つまり、
品質番手のほうで、解釈している可能性があると。これは、
マニアックな話ですが、オーダーメイドする際憶えておいたほうがよいです。
理由は2つ。
1つは、上述のように本当にそんなに細いかどうかをスーパーという言葉で
煙に巻いて、実際はもっと太いかもしれないから。あくまで、糸番手と
スーパーファインウールの数値が同じでなくてはならないということ。
2つ目は、細けりゃあいいってもんじゃないから、ということです。最近では、
Super200'Sとかも出てきて非常に細くて繊細な生地ができたけど、細く
なるほど力を失っていくということ。これは、MEN'S EXでも書いてありました
が、耐久性がなくなるということなんですね。細くなるほど光沢が出てきて、
ぬめりができ、肌触りはカシミアのようになりますが、末永く着ていくには、
クエスチョンマークがたくさんできるという二律背反のようです。
では、どの程度がよいのか?服部晋氏は、120から130がよいとのこと。
それ以上だとシワに成りやすく実用性に向いていないそうです。
昔、読んでいたある雑誌では、キートンなんかが、Super270'Sの開発
に成功とか書いてあって、とにかくお洒落な男は、数の大きいスーパー
ファインウールをぜひ!みたいなことが書かれていたのを憶えています。
Super○○'Sが高ければ高いほどラグジュアリーという感じですね。
この広告的な説明に若干惑わされていた自分が恥ずかしいとともに、
スーパーファインウール自体が悪いことはないということも、再確認でき
ました。
Super130'S以上は、たまに着る分にはよいのかもしれませんが、頻繁に
着るとなると、難しい。バランスが必要だということを、この本で学びました。
2、ウールは呼吸をする生き物、だから休めないと
ウールは、スケールというウロコがあって、刈り取られた後でも、
湿度で自動開閉して水分を自分の中に保つようにするという能力がある
そうです。つまり生きているんです。知らなかったー。これは、着る人間に
とってもよいことだそうです。この毛を使って糸を作るから、いろいろ繊細
な作業が必要なわけですが・・・。
最近は、糸を作るのに高速繊機というものを使うようになりました。
これは、大量生産が必要になったこともあるし、細い素材がたくさん
できたことがあるからだそうですが、服部晋氏は、果たしてこれが
毛織物にむいているだろうか?と疑問を唱えています。
というのも、毛から糸を作る際、昔はエージングという工程を踏んで
いたからです。これは作成プロセスの中で、糸を休ませるということ。
麺類なんかもありますよね。寝かせるという概念です。一緒にして
いいかはわからないけど。
最近はこれをしないで、高速繊機で一気に糸にするそうです。この
糸で作られたアイテムが果たして20年、30年着られるかというと
夢物語なのでは?ということを述べています。
今回はこんなところで。生地に関して述べられている一部を紹介しただけ
でも、こんなに丈が長くなってしまった。ぜひ、直接読んでもらいたいんです
が、決して全て鵜呑みにしろということじゃなくて、知ってて損はしないこと
ばかりなので持っておいたほうがよいと思います。特に、スーツをオーダー
メイドをしようとしている方は、読んでおいたほうがよいです。
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買って読んでみます!!
いろいろ書いてありましたけどもう忘れてしまいました笑
武欄堂さんのオススメファッション本ベスト3とかも是非聞いてみたいです。
これは早速注文してみます。
ぜひぜひ、ご一読をオススメします。