分析：wjkのデニムシャツの人気は特別なのか？

■今季流行りのデニムシャツ、wjkの人気にせまってみる

ヤフオクの落札が見えるサイト、オークファンのデータを使用して、デニム
シャツの落札動向を見ていたんですが、wjkのデニムシャツ（フックボタン）
がやたら人気なんですよね。ほかのデニムシャツも多く落札されていますが、
ちょっとかなり高値の落札価格と量なので、他の人気ブランドのデニムシャツ
と比べて、それぞれ同じデニムシャツでも異なる傾向（主効果）があるのか
を統計分析で探ってみたいと思います。 ちなみに、定価は約40,000円もし
ます。デザインは、コヤジ通信を見ればすぐわかりますが、非常にタイトで、
シワ加工が凝っています。

今回行う分析は（一元配置）分散分析です。簡単に言うと、各ブランドの落札
価格をサンプルデータとして、それぞれの落札価格（母集団）の平均に差が
あるかどうかを調べて「独立した存在」かどうかを知るものです。平均値
だけならもちろん異なります。今回は、wjkだけでなくヤフオクで人気な、
ナンバーナイン、ワコマリアのデニムシャツの落札価格を加えました。
なるべく多く落札されていてドメスティックブランドで流行っているものを
選びました。テンダーロイン、ベドウィンはデータが少なかったのでパス。

【サンプルの一部】

【落札平均値】

１：wjk　21,655円　　２：ナンバーナイン　12,354円　　３：ワコマリア　15,582円

サンプルは、各ブランドそれぞれ３３です。
ちなみに、ヤフオクのデニムシャツ自体の平均落札価格は、3,569円でした。
以下からは分析の手続きを書くので、結果を知りたい人は下記の【結論】まで
飛ばしてください。

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●分析手続き

◎帰無仮説、対立仮説

・帰無仮説：３つのブランドはデニムシャツの落札価格（母集団）の
平均に差はない

・対立仮説：３つのブランドのデニムシャツの落札価格（母集団）の
平均の少なくともひとつの組み合わせに差がある　

分析には統計ソフトSPSSを使いました。一元配置分散分析を
行いました。多重比較（３ブランドどうしでは何か有意な差がでるか
どうかを調べるため）としてTukey（T）を指定しておきます。

◎分析結果

ちょっと見難くて申し訳ありませんが、分散分析から見ていくと、有意確率
が0.000ですので、デニムシャツはブランドによって違いがない、とはいえ
ないということになります。つまり、上述の帰無仮説は棄却され対立仮説
が採用されました。次に、どのブランドどうしに差があるのか？３つの
ブランドを比較したものが、下の多重比較です。ただ、等分散性の検定
が5%水準を割ってしまっていたので、本当は正確ではないのですが、
比較してみたので出しました。

１がwjk　２がナンバーナイン　３がワコマリアです。有意確率をご覧くだ
さい。wjkは、ナンバーナインとワコマリアそれぞれ5%水準で有意な差が
出ています（多重比較の一番上の結果。両方とも有意確率が0.000）。

ところが、ナンバーナインとワコマリアは、有意水準の値が0.094。つまり
9%水準に達しており、有意な差は見られないということになります。
というわけで、ブランドwjkの落札価格だけに主効果が見られる、独立
したものであることが分かりました。ただし、等分散性の検定はパス
しておりません。

●限界

ブランドのサンプルはほかにもたくさんありましたが、増えると結果が
不透明になるので３つにしました。３つのブランドは母集団に対して
有意な差がありましたが、多重比較においてwjkに主効果があるという
ことは、等分散性の検定をパスしていないので不正確になります。

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【結論】

３つのブランドのデニムシャツは、普通の全体のデニムシャツの落札価格の
傾向性とは違う効果が見られました。つまり、落札者はwjk、ナンバーナイン、
ワコマリアに対して、何か特別なものを感じているかもしれません。具体的
なイメージまではわかりません。そして、その中でもwjkのデニムシャツの
人気っぷりには何か意味がある、ということが言えそうだったんですが、
統計的な検定をパスしていないので言い切れません。残念。

聞いたところによると、wjkのクリエイティブディレクターの橋本淳氏が
退くそうで最後の作品になるとか、wjkのデニムを手掛けているドゥニームが
変わるとか、いろいろ話は出ていますが、とにかくwjkのデニムシャツは高価
で取引されています。興味のある方はご覧になってみてください。

【資料】オークファン

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