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2009年06月04日

「g.u.」の値下げから考える、デフレの懸念と服飾産業の未来 

■ユニクロをファッション産業の中心にした場合、起こる懸念を書いてみる

さて、今少しずつ問題化されている、アパレル産業とデフレ。今回は、
ユニクロ、g.u.を持つファーストリテイリングに悪者になってもらって、デフレの
現状と未来を、価格知覚を用いて日本におけるラグジュアリーブランドの行く末に
ついて書いてみたいと思います。なぜ、アパレル産業の代表をユニクロとg.u.
にしたか、こんな話が書かれています。今、日本の激安といえば、食はマクド
ナルド、服はユニクロ、家電はケーズデンキ、家具はニトリ。なので、代表
として出しました。あくまでファーストリテイリング VS 他のアパレル企業
だと思って読んでください。

最近どうもファーストリテイリングの価格設定に一抹の不安がある。どんどん
安くなるのはいいんですが。日本の経済成長、デフレ対策を考えるとどうなん
だろう?繊維ニュースweb編集局の「安価+αの商品だけで良いのか」や、
価格インパクトは永遠か」、「安さだけでよいのか」を読んでいると、
まず価格ありき的なものに懸念することは同意するし心配になる。

皆も思っていることだと思うけど、やっぱり給料が上がって雇用が増えて、
それなりの価格の服を買ってお金を回すことが一番幸せであること
は理論上言えるんじゃないかと思う。ちなみに、それなりの価格の服というの
はバリューフォーマネー(お金をある一定払っても、損をしないクオリティーを
持つ)のこと。決して成金根性を出せと言っているわけではありません。

結論から言うと、もの作りに徹するバリューフォーマネーなアイテムを探して、
それにお金を回すことです。これがデフレ、不況を乗り切る1つの手段です。

ファーストリテイリングはいまや勝ち組です。ユニクロでは、5月の国内既存店
売上高が前年同月に比べ18.3%も増えました。また、同じく傘下で絶好調の
「g.u.」は、990円のジーンズだけでなく、今度は490円のプリントTシャツの投入。
「g.u.」は、これから商品の約半分が990円以下になると話題となっています。

fashionsnap.com

さらなる飛躍を目指すジーユーは、今回さらに市場最低価格を追求するべく、「ケタ違い」な価格宣言として、490円、990円の新ラインナップを大幅拡大。490円のプリントTシャツは100色柄で展開し、2WAYチュニック、カーゴパンツ、ガールズジーンズなどが、990円の新商品として登場する。

 説明会では、ジーユーの女神であるタレントの眞鍋かをりさんと、お笑いコンビのクワバタオハラさんが、「安くておしゃれなワザありコーディネート術」を紹介した。眞鍋さんは夏らしいエメラルドグリーンの2WAYチュニックにホワイトのカラーショートパンツで「カジュアルかつ大人感」なコーディネートを披露。990円シリーズの愛称を"キュッキュ"と名付け、「前回の990円ジーンズは自分のブログでも話題だった。今回のジーユーのパワーUPも本当にスゴい。どれだけまとめ買いしたらいいんだっていう感じ。」と、驚きの新価格について語った。

経済不況の影響もあり、低価格志向、アウトレット、セール、ファストファッ
ション、安カワ、安い服をカッコよく着こなす・・・というようなワードが飛び交
っているのが今の現状です。別に悪いことではありません。もともと安くブランド
品を手に入れようとする本ブログとしては、願ったりかなったりな面がある
ことは、事実です。でも、それには条件があります。あくまで、日本のファッ
ション業界において、ラグジュアリーブランド、ハイファッション、中間層の
ドメスティックブランド、 ファストファッションがバランスよく散らばっている
状況の中でのことで、 百貨店の相次ぐ閉店及び二桁の減益や、モード
ブランドの閉鎖、 破産が起こることを「良し」としているわけではありません。

惨憺たる状況にある、日本のラグジュアリーブランド市場。確かに、今まで
の高慢経営も悪いし、利益率をどんどん上げていくブランドも多い。たくさん
できるアウトレットの存在により、定価とのギャップに原価がバレバレで「どん
だけぼってたんよ?」というブランドもありました。金の亡者化している化けの
皮がはがれたんです。こういった、ラグジュアリー ブランドの日本人に対して
行ってきたバキュームのような金の吸い上げは、ついに地に 堕ちたのかも
しれません。今、企業耐久力があるのは、せいぜいルイヴィトン、 シャネル、
エルメスくらいのもので、他はいつどうなるか分かりません。

こういったラグジュアリーブランドの駄目な点を前提にしつつ、あえて言いたい
のは、このままだと日本のアパレル・ファッション産業の衰退・縮小が数年で
顕著になるんじゃないか、ということです。まず、モードブランドを含むラグジュ
アリーブランドは、基本的に今の価格志向化している日本では「これから」が
期待できない。するとどうなるか。

日本はいよいよ利益が得られない島国と思われ、中国、ロシア、インドなどで
第2、第3の銀座、ニューヨーク5番街を作ろう、という経営方針にいつなって
もおかしくないと思うんですね。これは困ります。非常に困ります。
流行は逆ベクトルに向かうというけれど、ファストファッション全盛期から衰退
期に入ったらいったいどうなるのか、少しずつ手を変え品を変え
プロダクトエク ステンションのような延命措置を取るのか。その先に経済的な
成長と、日本のファッション性にプラスは期待できるのか?気づいた時には、
パリのエスプリだったり、イタリアの職人芸だったり、下手をすると日本の職人も
・・・、 衰退しきっているかもしれない・・・。いつの間にかアパレル市場がデフレ
スパイラル巻き込まれ、値の張るものが全く売れなくなってしまっているかも
しれない。

長々と書いてしまいましたが、そういう未来にしてしまうかどうか、という影響
力を持っている企業の1つがファーストリテイリングだと思っています。どこの
アパレル企業もファーストリテイリングを意識していないところはないほど、
今や日本を制圧している部分がある。H&M、フォーエバー21、トップショップ、
ZARA、GAPと、ユニクロ、g.u.が違うのは、消費者の最低受容価格(これ以上
安いと、その商品を買わなくなる限界の価格)に影響を与えることだと思うん
です。なぜそう言えるか?僕は、ユニクロは実は「ファッションブランド」という
より、「花王、P&G、J&J」のような、マーケティング志向の強いブランド企業
なんじゃないかと思っています。柳井正CEOがマーケティング本部長兼任
になってから、フラットな組織の中で活動は活発化され、イメージ戦略に従事
してきました。おそらくすごく秀逸なデータ解析、データベース化が行われて
いると思います。こういうアプローチだと、ファッション万歳のH&MやZARA、
フォーエバー21とはマーケティングの取り扱い方が違うんです。

ユニクロ、g.u.によって、最低受容価格はどんどん下げてしまっているのが現状。
また、価格帯の幅を少しずつ上下に拡げていますね。ユニクロはファストファッ
ション市場の中に更に安いポジショニングを作りました。g.u.です。ニッチ戦略
ですし、鋭いと思うんですが、そのg.u.がさらに安いモノを出す。フォーエバー21
の500円のTシャツとは、物理的には同じでも心理的には違う。ユニクロのほうが
浸透するし基準値になるのが早いからです。

一方ユニクロ自体は、秋冬に立ち上げる長期のジルサンダーとのコラボラインが
いくらになるか。たぶん、既存の商品よりも上になると思うんですよね。g.u.とも差別
化するために。そうなると、g.u.も含め下は490円から上は20,000円くらいと仮定しま
しょう。ラグジュアリーブランド一直線の方は影響は受けませんが、今まで頑張って
こつこつハイブランドを買っていた庶民の中の価格知覚が変わっていってしまうと
思うのです。 もちろんユニクロ嫌いの人は別ではありますが。人の内的参照価格
(消費者の心にある、服は普通○○円くらい、という個人別の標準)は、いつの間
にか変わってしまうんです。2年前までが10,000円だったら、これからは5,000円
くらいになってしまうとか。価格志向の怖いところなんです。 

だから、ユニクロのこれから数年間にわたる経営戦略に関係してくると思うん
です。というのも、ラグジュアリーブランドの消費者とユニクロの消費者の
垣根が消えているんです。行き来しているんですね。ここでユニクロが「ガンガン
いこうぜ!」になって、ラグジュアリーブランドが「逃げる」「しかしまわりこまれた」
「逃げる」みたいな状況だと、百貨店も含め、どんどん日本はお店が閉じて
行っちゃうことが進み、いつの間にか百貨店からユニクロに乗り換えるモード
ブランドも出てきたりして、コムデギャルソン×ユニクロの長期ラインが登場、
なんてことも絶対ない、とは言い切れないわけあるわけです。ユニクロが本当
の世界一のSPA企業を目指すのであれば、ラグジュアリーブランドの体力
回復を待ってあげたほうがいいんじゃないですか?それが本当の意味での
市場の活性化になるんじゃないですか?と勝手ながら意見を言わせて
頂きました。

ユニクロが、ファッション業界の中心という前提のもとで書いたとはいえ、
少々ユニクロを買いかぶりすぎていますか?消費者の価格知覚 に影響を
与えてしまっていると思うんですよね。ただ、具体的な弱点があり ます。

・20代の女性から人気がある、とはまだいいきれない

・サイズ感がいまいち (いつも言われている)

・まだダサいというイメージを持っている人もいる

この辺が、まだまだ改良の余地あり。もう改良に踏み切っているだろうけど。
価値観というものは、時代とともに、あるいは瞬間的に変わっていきます。時代
でいうなら「価格志向」。瞬間でいうなら、先日書いたモーブッサンのような
5,000円のダイヤモンドをもらうために、会社を休んでまで並ぶという行動を起こ
してしまう非合理的な人間の性。時間によってコロコロ変わる人間の価値判断
に一番よいことは、「ブレないモノ作り」になってくるんじゃないかと思いました。
不況を乗り切るための1つはお金が回ることです。それに私達消費者ができる
ことは、いいものを見定めてお金を使うこと、とテレビで放送していましたが、
服にしても同じなのかなぁ、と。バリューフォーマネーに励んでいる日本の優れ
たアイテム、吉田かばんだったり、ラグジュアリーブランドだとエルメスになるの
かなぁ・・・。

クラフツマンシップがありアイテムつくりにブレない力を入れてアイテムを探し
出して買う。宝探しみたいな感覚でできれば、なお楽しいのかなぁ、と思った
り。そういった積み重ねがよい物づくりのブランドだけが生き残り、服飾産業
の未来によい影響を与えるんじゃないかと考えています。

関連:繊維産業の課題と希望

posted by No.9 at 00:17 | Comment(2) | TrackBack(0) | 議論 | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
高くても売れるモノを作らない(作れない)ことも問題なのかも…と言っても、安いパクリが簡単に作られてしまうようではどうしようもありませんが

「安くて(パッと見が)良いものが正義!」という現状では、モノづくりに対するこだわりや、それによってある程度値が張るのは仕方ないことだと説いても、振り向く人は少ないのかもしれません


LVMHグループであれファーストリテイリングであれ、ひとつの組織が業界のシェアの大半を握ってしまうのは、絶対に望ましいことではありません。特に、モノの優劣だけではなく個性も重視されるファッション業界では…

ただし、消費者の心理的な「安さ」の基準が変わってしまうのは、巨大資本のイメージ戦略(価格つり上げ)よりも業界の衰退に直結していると思います。単純に利ざやが減るわけですから


私はファッションをビジネスとしてよりも文化として捉えていたいので、できる限りフェアトレードの視点で以て買い物をしたいと思っています。
それが、いち消費者である自分が作り手の誠意に報いる方法のひとつであると思いますので…


長文失礼しましたm(__)m
Posted by ひろゆき at 2009年06月04日 18:42
>ひろゆきさんへ

ご意見ありがとうございます!

文化、そうですよね、その服にまつわる文化や歴史はエキサイティングな角度です。深いし。文化とはいえ、僕のクラオタなのでそこからしか切り口がつかめませんが(汗)
Posted by 武欄堂 at 2009年06月05日 01:01
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