■リックオウエンス、デザインのコピー問題も、本家は動じず
リックオウエンスのレザーに似ていると言われているGraiと Roland Mouret。
ほかにもリックオウエンスに似ているブランドの画がみれます。こちらから。
【デザインコピーの参考 by NY times】
NY timesで、MAYA YOGEVのレザーアイテムがリックオウエンスに酷似
している(ジップのライン、ドレープとシェイプのバランス、独特のカラー、
退廃を感じさせる配色)ことが書かれていますが、結論的に言うとリック
オウエンスはそのことに関して特別神経質になっていません、という話。
・コピーしていません?と言われる側の反応
リックオウエンスといえば、ユリウスやダミールドーマ、その他いろいろ
とても似ているとよく言われますよね。その1人が、MAYA YOGEV。
彼女はリックオウエスに似ているといわれることに苛立つようですが、かつて
リックオウエンスのもとで働いていたため似てしまうのは、自然なことなのか
もしれないと認める面も。
In recent months, a veritable industry has sprung up around Mr. Owens, who may be fashion’s most imitated designer. Rival houses are racing to produce their own distillations of his angular flaps, zigzagging zippers, gossamer T-shirts and biker jackets pliant as second skins. |
・リックオウエンスは業界でもっともコピーされるデザイナーの1人
最近では、モードファッション産業において、リックオウエンスは最も模倣
されたデザイナーであるかもしれないことが書かれています。模倣を
行うショップでは、競うように早くリックオウエンスから拝借したデザイン
を生産しています。それは、彼らの蒸留物として、角ばっている折り返し、
ジグザズジッパー、クモ糸のようなTシャツ、柔軟に曲げられるジッパーで
できている、第2の皮膚のようにしなやかなライダースジャケットなどができ
ます。
かつて、アルマーニやヴィヴィアンウエストウッド、トムフォードが中心だったように
今では、アレキサンダーワン、ラグ&ボーンだけでなく、からトップショップ、アメリカ
ンアパレルまで、リックオウエンスのデザインに没頭(あからさまにコピー
という表現ではない)しているようです。
・リックオウエンスのデザインには普遍性がありコピーという枠を超えた
存在?ファッション業界関係者は語る
これはもはやコピーという枠を超えている、そういうのはロンドンのリバティ
のバイヤーEd Burstel氏は語る。彼は、「リッオウエンスはめったに自分の
典型的なスタイルからはぐれない。時間がたつにつれて、彼のビジョンが
明快になっていく。彼を現在無視して通ることはできないのです」と
言っています。
リックオウエンスは瞬間を捉えることができた。そして、それは波長(波紋)
となって拡がりを見せている。と、言う人もいます。
また、リックオウエンスの存在がここまで表に出てきたこと自体、逆説的だと
も言われています。というのも、リックオウエンスはLAの産業の影の部分(
それは、アングラで気味の悪い香り漂う場所に拠点を置く)で研鑽を行う
ことによって、ぞっとするようなオーラを逆に表に出すようになったから。
In an e-mail message, he responded with terse resignation to the suggestion that others were copying his designs. “When something’s in the air,” he wrote, “no one can really own it.” |
リックオウエンス自体は、デザインのコピーに問題に関して、「空気中に何か
があるとき、だれもそれを所有することはできない」とeメールで答えています
(訳が間違えていたらすいません)。
加えて、デザインとアート関係の雑誌"The New Order"の創設者いわく、
リックオウエンスは、常に先を進んでいることを述べています。「ランウェイシ
ョーを行い、過去の遺産に止まることなく正真正銘の新しいもの生もうと挑戦
しています。それは、フューチャリスティックなデザイン。アシメントリーなカット
とモノトーン。加えて、コンテンポラリーミュージックとグラフィックデザインは
平行している。」と述べています。
Museum of the Fashion Institute of Technologyの、Valerie Steele氏は、
「リックオウエンスは古い典型的なバイカージャケットに新しいシェイプとカット
を与えてきた。それは決して80年代ではなく、新しい血であり、皆それを楽
しみにしている。」と記しています。
とまあ、ファッション業界の関係者の「リックオウエンスとデザインのコピー」につ
いて簡単に訳してみたのですが、リックオウエンスのデザインをコピーするという
表現より、ゴージャスで煌びやかなモードのデザインの反対をいくスタイルその
ものがリックオウエンスであり、退廃的でアンダーグラウンドをデザインに集約し
た彼のデザインは、もはやコピーという概念で括れないほど、ほかのデザイナー
に影響をいつの間にか与えていると、個人的に感じました。がしかし、一方で、
日本のユリウスやダミールドーマももちろん影響を受けていることが、書かれて
います。
・デザインのコモデティ化の懸念
基本的に、リックオウエンスはコピーされたところで彼の哲学までコピーすること
はできないのだから、特別気にしていないようですが、NY timesが気にしている
のは、リックオウエンスのデザインをコピーした廉価版のアイテム。
クローン人間という表現がされていますが、その模倣者であるデザイナーたちが
セレクトショップのオリジナルや、ファストファッションに取り込むことによって、
リックオウエンスのブランドイメージに傷が付くということです。ここではあえて、
名前は出しません。 知りたい方は、NY timesをご覧ください。
デザインのコピー問題はいろいろ記事にしてきましたが、頂くコメントは、厳しい
取り締まりをするべき、というものもあれば、そうするとドメブラほぼ全滅、という
のが多いんですよね。ほんと難しい問題です。 特にメンズは、細かいディテー
ルの積み重ねで差別化しなくちゃいけない服が多いので、なおのこと。
Mr. Owens himself acknowledged his influence, if only obliquely: “Suffice to say that it’s motivation for me to do my best to move forward.” |
そんなジレンマをよそに、リックオウエンスは上記のように、コピーに対して
前に進むモチベーションになると言ってのけています。これが「リックすげー」
と言っていいのか、コピーが溢れ出ちゃってる現状に、アメリカの、"Design
Piracy Prohibition Act"(デザイン著作権侵害禁止条例)を考えたほうが
よいのではないのか、と言ったらいいのか、難しい・・・。
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それにしても面白いくらい似てますね〜(笑)
記事を読んでいて、いつかのエディ・スリマンのこととダブりました。
そういえば、最近ではタラリスがエディへのオマージュとして、チェルッティのコレクションやったりしてましたね。あれはまた別なんだろうけど。
修正しました。ありがとうございました。