■日本人はラグジュアリーブランドに興味なし、倹約こそが一番?
以前、日本の不況に関するNY timesの記事として、日本人は高級バッグを持た
ず、ブランドアイテムを入れる紙製のショッピングバッグをデイリーに使っている、
なんていう内容をご紹介し、いろいろご意見を頂きました。
今回は、より経済寄りの内容なんですが、日本は新たな不況の時代を迎えて、
ブランド物には興味を示さず、倹約に努力していることが様々な例を通して書か
れていますので、ご紹介したいのですが、ポイントは、「デフレ(値下げ)と倹約の
ジレンマ」ということをNY timesは言いたいのだと思います。
Once Slave to Luxury, Japan Catches Thrift Bug/NY times
かつて、ラグジュアリーブランドの奴隷だった日本は、今では倹約の虫になって
いるという、なんとも辛らつな題名なんですが、これがNY timesの見方。
以下、NY timesの内容を簡単にまとめてみました。
そんなに昔でもありません。100ドルのメロンや1,000ドルのブランドバッグを、
買う日本人がたくさんいました。それはマスマーケットと考えられていた。
1990年代初頭からの不況による失われた10年でさえも、このマスマーケット
は支えられてきました。しかしながら、新たな不況は、このマスマーケット
を速く減少させ、日本人はウォルマートのような量販店のほうに目を
向けさせました。
ウォルマート傘下の西友は、7年間利益を上げられていませんでし
たが、昨年11月以来、そして今年も利益をあげるだろうと予測されてい
ます。一方、かつて万能だったラグジュアリーブティックがぐらつき始めました。
高級バッグで、日本人にもっとも人気のある、LVMHが持つルイヴィトンは、
2009年の上半期売上前年比20%ダウン。世界経済不況により、銀座での
大旗艦店のオープンも中止となったのは記憶に新しいです。
80年代のバブル期、90年代の不況においても、ルイヴィトンのバッグに
エルメスのスカーフは、女性にとってライフスタイルにおける定番でした。
そういえば、高校生でもルイヴィトンの財布、バッグを持っていましたね。
ところが現在、マッキンゼー&カンパニーのエコノミストによると、日本に
おける新世代のファッショニスタは決してラグジュアリーブランドに心を
動かされないと述べています。古着屋からみつけてきた服をミックス
させ、着こなすことを好みます。
19歳の女性は、「ルイヴィトンに興味がありません」と語る。「かつては
ルイヴィトンのバッグを持つことが当然という空気があったけど、今の若い子
はそんな風に思わない。」
今の日本市場は、製品に限らず安いことが、定番であるという環境になって
いる。例えば、国産の高級メロンの代わりに輸入の安価なバナナ。
36歳の女性は、「ブランド物を買うよりも他に費用をかけなければいけない
ことがあるから買わない。」と話す。
第一生命総合研究所の調査によると、雨の日でも倹約のため、タクシーを呼
ばずに歩く人が多い。
2008年の平均的な世帯支出は過去最高の69,059円低下して、平均年収は350
万円になり、再び低下すると予想されています、第一生命総合研究所のチーフ
エコノミストは述べています。日本は40兆円のデフレギャップに陥っていて、
完全失業率は5.7%になり、倹約ムードはさらに拍車がかかる。
経済不安と、国民の不満を背景に勝利した民主党は、子供手当てなど手厚い
補助金を出す。それを通して、家計所得を上げると約束しました。しかし、エコ
ノミストいわく、デフレサイクルにより起こる値下げ競争を止めることが難しいこ
とが証明されていることに懸念を抱いている。
例えば、ビール業界。発泡酒に第3のビール、量販店のPBなどで100円弱の
値段で販売していて、価格競争が激化している。
洋服ならg.u.。990円のジーンズ、続いて880円のジーンズが出てきています。
西友もこれらの価格帯でジーンズを販売する計画を立てているようです。
日本人の倹約志向は、ハンジローの成長に貢献しています。今年の4月、埼玉
の新しい店舗がオープンしたとき、1,000人が290円のTシャツを買うために並び
ました。
倹約に強い西友に関して言えば、298円の弁当。これも価格競争に火がつき、
独自の方法でコストを削減して販売しています。弁当が安いというのは、日本
のつましい生活をしている日本の消費者にとってあっていました。西友の戦略
は正しかったのです。
「“Price is No. 1 in my mind,”」これが今の日本人の心理状況・・・。
なんだか最後のほうは、ウォルマート万歳的なくだりが続いて、僕個人は
あまり納得できない部分もあるんですが、日本のファッション産業についてアメリ
カのメディアが書くことは、不況を必ずテーマにします。日本のエルメスが今全然
売れていない。百貨店の売上が低下。日本人の消費者の価値観の変化、すなら
ち脱ラグジュアリーブランド傾向にあることを意味しています。
僕はその内容ついての是非はこだわりませんが、言いたいことは1つ・・・。
そもそもアメリカの金融に大きな大きな問題と欠落があったことをどうか忘れ
ないで・・・ということです。
そして、いわゆるデフレスパイラルがさらに加速すると、ラグジュアリーブランド
だけでなく、日本の工場で生産しているドメスティックブランドがどんどん
消滅していくことになります。あのヨウジヤマモトも経営危機となり、国の支援
対策が必要であることが、アサヒドットコムでも書かれています。これは、しば
らく続く問題。極端な話、ユニクロだけしか残らないような時代だけは避けたい、
そう思ってしまうのは僕だけではないと思いますが・・・難しい。
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298の弁当は西友以外でもありますよ
ドメブラが消滅したら日本のファッション業界閉店ですね
海外生産低コストは財布には優しいけど、それによって国内の工場や雇用も減退してくって考えると、消費者のお金の使い方やメディアの目の向かせ方をもっと変えていくべきだと僕は思ってしまうのですが、武欄堂さんはどう思いますか??
ちなみに僕もタクらないで歩いています。痩せるし(苦笑)
>名無しさんへ
>消費者のお金の使い方やメディアの目の向かせ方をもっと変えていくべき
僕もそう思いますが、まずメディアは広告次第で動くことが多いのが現状なのと、準拠集団についていかないと、時代に遅れるという日本人特有の意識がまだあって(これからは個々の時代ですが、まだ根強く残っています。)日本製のドメブラには厳しい時代なんです。あんまり詳しくお話できませんが、国内の工場は、低賃金で働いているところが多く厳しいそうです。そうしたシステムを抜本的に変えないと難しいかもしれません。
すごい言われよう(笑)
ほんと今のユニクロの勢いなら、多少なりともドメブラが消滅しそうですね。。
ユニクロだけしか残らない時代になってほしくないと、私も思っています。
しかし、国内産業保護とか言って衣料品だけっていうのも難しいんでしょうね。すべて国内で生産無理やり生産とかw