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2009年12月22日

ファストファッションの歴史が把握できる『ファストファッション戦争』

■H&M上陸以前から、大流行した2009年までがまとめられた一冊

ファストファッション戦争 ファストファッション戦争

産経新聞出版 2009-12-18
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数日前に出版されたばかりの書籍『ファストファッション戦争』。本の表紙が、
東京カワイイ★TVの始まりにそっくりな画なので、関係あるのかな?と思った
ら、たまたまのようで・・・。

もはや社会現象にもなった(2009年流行語大賞にもノミネート)ファストファッシ
ョン。今改めて、なぜファストファッションなのか?そもそもファストファッション
とはなんなのか?といった基礎的知識から、ファストファッションによっ
て、なぜ百貨店が苦戦を強いられ、売上が落ちていくのか?百貨店が安く売
ることができない理由、 アパレル企業との関係性による意外な百貨店の弱点
など、流通に関する裏側の話、各ファストファッションブランドの特徴と戦略の
詳細が事細かく書いてあり、かつ結構まとまっています。ファストファッションブ
ランドのマトリックスもあるので、私のものとともに紹介してみたいとも思って
います。

さらに、各企業の売上、店舗数、売上ランキングなどのデータ、ファストファッ
ションに当たるブランド名がよーく載っている。僕は資料としてこれからも何度
も読み直すことになりそうです。

本ブログでは、『ファストファッション戦争』を、○○系といったファッション系統
ではなく、マーケティングの観点から斬り込んで書評をさせて頂ければと思って
おります。ファストファッションに興味がある学生さん、ビジネスマンは1冊持っ
ておくと便利です。

<目次>

第1章 ファストファッションVS百貨店

第2章 ユニクロVS H&M

第3章 しまむらVS フォーエバー21

第4章 無印良品VS ZARAGAP 

第5章 黒船VS 国産チェーン

第6章 ジーユーVS 総合スーパー

第7章 銀座VS 原宿VS 渋谷



内容はよいのに目次がよくないんですよね、この本(汗)。一応各章ごとに
節も設けているんですが、ちょっと乱暴。書籍として大切なのは目次なので、
もうちょっと丁寧に分けて欲しかった。決して、○VS○だけの内容ではないの
で。 

さて、なんといっても興味があったのが1章のファストファッション VS 百貨店
と、2章のユニクロ VS H&M。面白いので、その辺を中心に述べていきたいと
思います。

【ファストファッションはH&Mが上陸する前からとっくにあった?】

今から言えば当たり前ですが、GAP、ZARA、ユニクロ、しまむら、ライトオン、
無印良品、ジーンズメイト、109系、総合スーパーの衣料などがそれに当て
はまると著者は述べています。 しかし、読んでいくにつれてブランドにより、
若干定義にズレが生じるるのがちょっと問題かもしれない。

著者曰く、ファストファッションとは、「手軽に気軽に安く、日常的に着ることが
できるファッション衣料のこと」。低価格衣料品全般と述べています。
これは、あくまで物理的な定義。
問題は、「ファスト」というのがトレンドをつかむ速さ、商品の回転の速さが要
因として入るわけで、単に安い衣料品がファストファッションかというと、違う。
H&Mが、2008年上陸してきたときに持ってきたワードなので、H&Mのイメージ
が強いのは否めません。

著者の述べていることに加筆させて頂くとしたら、ファストファッションとは「低
価格、高品質、ファッション性、スピード」の4要素から構成されていて、それ
ぞれのブランドがどこに特化しているか、それが差別化になるということだと
思いました。
著者の考えをお借りしながら例を出すとすれば、ユニクロだったら低価格と高
品質に特化しているブランド。一方、H&Mは低価格、ファッション性、スピードに
力を入れている。このようにして、低価格衣料品に、なにをプラスするかが、
今の皆さんのイメージにあるファストファッションであると、僕は考えています。

実際、消費者のファストファッションのイメージは、H&Mが銀座の一頭地に建て
られた旗艦店に、デザイン性にすぐれ、最旬のアイテムが安く買うことができ
る・・・。銀座なもんだから、高級感さえ感じてしまう・・・。そんな安価と贅沢の
ミックスを感じてしまう(知覚品質)ことが、ブランド力につながったりするので
す。これは今までなかったことです。

【なぜ今高級ブランドが売れなくてファストファッションなのか】

著者の考えを簡単に言うと以下。

・不況のせい

・消費者の価値観が変わった(皆がモードブランドを身につける従属意識から
開放され、「個」でカスタマイズして楽しむ時代の到来)著者はいずれパライ
ダイムシフトの時期として評されると述べています。
これは、英国が考察する、日本経済とファッション消費への価値観の変化や、
NY timesが考察する日本のファッション産業と経済不況 を読んで頂ければ
だいたい『ファストファッション戦争』と同じようなことが書かれているので、
ここでは割愛させて頂きます。

僕は、以上の2点だけでなく、もう2つ要因があると思っています。
1つはモードブランドとファストファッションの垣根がなくなったこと。
最近の消費者のイメージはモードブランドとの垣根が消えていて、両市場を
行き来している状況です。自分の懐と相談しながら、いくらでもファッションを
楽しめる術を知っている。

2つ目に、ECサイト、アウトレットの台頭がかなり影響があるのではないか?
と思っています。高級ブランドでもネットだと半額で買えるのが普通になっ
ていますし、某世界のファッション業界のドンの1人は、これからはすべて
インターネット事業を拡大させる、と言っています。百貨店の急落にも関係
していますが、このあたりもプロパー(正規価格)で買うこと
が馬鹿らしくなっているのかもしれない。 よりモードブランドが身近になった
ことが考えられるのではないかと。

【なぜ百貨店が売れていないのか?】

ついに、24年ぶりに7兆円割れまでに売上を下げた百貨店業界。この理由
として、以下のような要因があることを、著者は述べています。

1、圧倒的な価格差(百貨店が高すぎる)

 ・委託販売の問題(場所と売上の歩合を取る百貨店と、リスクを背負うブラン
ド企業との力関係性)委託販売は、売れなかったら全部自分のもとに帰ってき
てしまう。メーカーに不利。

 ・百貨店の高くても消費者が買うという時代錯誤の思い込み

 ・高いもの、安いものには理由が必要な時代(ただ高級ブランドだから、と言わ
れても、原価10倍以上の値段で売るだけではもう売れない。同じくただ安いだけ
でも売れないが、ファストファッションには百貨店の中間価格のものに負けない
品質とデザイン性を構築できる理由があるから売れる)

2、コンセプト重視の劇場型販売の限界(平場つくりをしてもブランド企業はリス
クを取らない)

 ・セールされたりアウトレットに送られたら、売れ筋ファーストラインのブランド
価値が落ちるため、質の第2ブランドを提供するようになり、売れなくなる

 ・↑の結果、魅力的な商品がなく、閑散する

ちなみに、平場とは伊勢丹メンズ館2階のクリエーターズだったり、阪急百貨店
メンズ館のクアドロフェニアのことです。伊勢丹メンズ館の2階は厳しいですね。
百貨店と、メーカー側との関係性について著者は以下のような表現をしてい
ます。

百貨店と、アパレルメーカーの硬直した力関係は、たとえば永田町の政治家と霞が関の官僚との関係に似ている。政治家がいくら熱弁をふるって改革を叫んでも、硬直化した官僚組織はびくとも動かない。政権交代があったように、百貨店側も変われるだろうか。



なんとも皮肉ですね。笑うに笑えません・・・。

【ファストファッション(カジュアル)のポジショニングマップ】

『ファストファッション戦争』のポジショニングマップと、本ブログが多次元尺度
構成法で算出したポジショニングマップ。

DSC00613.JPG

出典:『ファストファッション戦争』

tm_map[1].jpg

各ブランド名とカラー(マップ上の色)      X値  Y値

H&M 1.3404 0.3472
UNIQRO(ユニクロ) -1.8756 -0.4563
ZARA 1.3115 0.0788
GAP -0.899 -0.879
COMME CA ISM (コムサイズム) 0.5791 0.2348
Shimamura(しまむら) -1.1745 1.9678
HARE(ハレ) 1.1722 -0.2701
topshop/topman(トップマン) 0.7335 -0.5153
mujirushi(無印良品) -1.6369 -0.5247
American aparell(アメリカンアパレル 0.4493 0.0168

各ブランドのポジションについては、比較することができないので(著者のもの
と本ブログは、アウトプットの出し方が違うので比較対象にはならない)、軸に
ついての傾向を書きます。

すると、縦軸・横軸逆になっていますが、同じような要因になっていませんか?
「低価格-高価格 お手軽-品質重視」「トレンド-ベーシック トレンド重視-コン
サバティブ」。「価格」と「ファッション性」が消費者のイメージの中に強くあるよ
うです。僕個人は、それに「品質」を加えて3次元マトリックスができるんじゃな
いか、という考えがあります。これはまた別のお話ということで。

【人生もいろいろ、ファストファッションブランドもいろいろ】

さて、すっかりファストファッションと消費者心理の話に大半を割いてしまいまし
たので、後は簡単に紹介します。詳細は直接読んでください。

◎ファストファッション(カジュアル)売上ランキングベスト5(2006年)

1位 GAP  19,200憶円

2位 ZARA 13,000憶円

3位 リミテッド 12,900憶円(今は解体されてる)

4位 H&M 11,800憶円

5位 ネクスト 7,900憶円

この時点で、ユニクロはランクインしてないんですねぇ。でも、2009年度は確
実に5位以内に入るということ。さすがに、1兆円はいかないんじゃないかな
・・・と僕は思っていますけど。ちなみに、10位まで載っているので直接御覧
下さい。

◎ユニクロの特徴

1、大量生産・大量販売

2 、店舗の内装などを標準フォーマット化する

3、中国生産だけど高品質だから

 ・ユニクロから「匠プロジェクト」という日本の職人さんが中国工場に趣き徹
底指導(個人的には技術流出が心配)。同じ中国製でもH&Mよりも品質は上

 ・生産した1000枚にも及ぶアイテムを完全買取するため、工場側は安心し
て取引できる

4、ベーシックなものが多く、高品質のため長く愛用できるが、ファッション性
は低め

◎H&Mの特徴

1、ファッション性の高さ(最近も、パリ・ミラノコレ2010S/Sデザインを商品化

2、売り切れごめんの希少性(商品の回転率が高いため、今買わないと二
度と買えない可能性も)

3、高級ブランドのデザイナーとのコラボでブランド力アップ

4、品質がユニクロよりも下

このような感じで、ほかに、しまむら、フォーエバー21、無印良品、ZARA、
GAP、ポイント、渋谷109系、アバクロ、キットソン、トップショップ、g.u.他、
国内メーカーに量販店の数百円ジーンズ競争についてのまとめと展望が
書いてあります。

アバクロがファストファッションに入る理由が最後までちょっと分かりにく
かった。僕は違うのでは?と思っているんですけど。

さらに、フォーエバー21原宿店がH&Mの隣にできたのは、有名ブランド店
から集客力をあやかるための確信犯(コバンザメ出店)とか、実は無印良品
が日本で一番古いファストファッションブランドとか、いろいろあります。
明日使える知識ばかりですね(笑)

日本人は、狂喜乱舞し、続々と上陸、拡大した、日本のファストファッション、
2009年を締めくくるのに読んで損はありません。面白かったです。もっというと、
2010年になって、ファストファッションはどこへ向かうのか、読んで予想してみ
ても楽しいかもしれません。

関連: これまでのユニクロの勝因は何なのか?日本とアメリカの考察を比較



posted by No.9 at 20:23 | Comment(4) | TrackBack(0) | 日本のファッション動向と流行 | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
この本読んでみたいと思いました。
私もファストファッションの定義は、H&Mが変えたように思います。
服、売り方、売り場、プロモなど、自社の考えを具現化することで、
世の中を変えたことってすごいことだと思います。
どこの企業も戦略なら作れると思うのですが、卓上で終らせない、
具現化するだけのバイタリティが何なのかとても興味があります。
Posted by たー at 2009年12月23日 00:54
>たーさんへ

H&Mの勢いはすごかったですね(汗)
ファストファッションの代名詞というか。
今もすごいけど。
Posted by 武欄堂 at 2009年12月23日 01:13
ちょうどファストファッションについて勉強してたところなので参考になりました!
Posted by メアリ at 2009年12月23日 03:42
H&Mは店頭で売り切れた商品を小出しに再入荷するので、実際の回転率はユニクロよりも圧倒的に低いですね。
買い込んだ商品が4ヶ月後にごっそり70%offになっていて、へこんだ思い出があります(笑)

Posted by 平安 at 2009年12月23日 07:24
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