■歯がゆい海外デザイナー、宝を見落とす日本ブランドたち
Paris, Milan, Tokyo. Tokyo?/NY times
Japan’s trailblazers of street fashion are the envy of Western designers, spawning Web sites filled with snapshots of Tokyo youngsters in the latest distressed jeans or psychedelic stockings. |
日本のストリートファッションの先駆者達は、ヨーロッパのデザイナー
から羨望の眼差しで見られています。どんどん生まれるwebサイトには、
崩れたジーンズと、サイケなストッキングを着こなした、最新の多くの
東京の若者のスナップ写真で埋め尽くされています。
あらあら、昨年はボコボコに日本経済の不況と日本人の倹約具合を書き
立てたNY timesが、一転、日本のストリートファッションを褒めてきました
ね。どうしたんだろう?と思ったら、この記事を書いている人は日本人の
ようですね(苦笑)。まあいいです。ちょっと面白そうなので、この続きを
簡単にご紹介しましょう。
【キャットウォーク化している東京の通りと、日本人デザイナーの盲点】
原宿のことを言っているのですが、日本の若者がうまく先端を行くファッ
ション慎重に選んで(コーディネート)して、他人に晒しています、と説明。
具体的にはGalaxxxy、Phenomenon、Function Junctionあたりが上がっ
ています。
しかしながら、せっかくキャットウォーク化している東京の通りからたく
さんのインスピレーションが得られる機会があるにも関わらず、日本人
のデザイナーのほとんどが、利益に変える方法を理解していません、と
述べています。アベイシングエイプ、エヴィスジーンズのように一握り
だけが日本のブランドが、国の垣根を超えて牽引する力を獲得しまし
た。ファーファーやガルシア・マルケスのようなシックでローカルなブランド
は、日本以外ではほとんど未知のままです。
昔の裏原系を中心に、成功したブランドは世界に出ましたよね。逆輸入型
のアメカジを中心としたストリートファッションです。
最近はW)taps、ビズビム、ノンネイティブ、ネイバーフッドなどが海外で
人気。
【海外へ行きたがらない日本のブランド達】
専門家いわく、海外で牽引するために日本のファッション産業が、断片
化されていて、国内市場に集中し過ぎていると、説明。内弁慶外ねずみ
状態ということでしょうか・・・。海外まで進出する体制も必要だと思うん
ですけどね。昨年発足された、国が行う若手デザイナーへの支援は、
事業仕分けの影響を受けるのでしょうか。
「この10年間の多くは、ファッション傾向として日本で始まりグローバル
化しました。しかし、日本のブランドはそれがわかっていません。」
と、東京に拠点を置くファッションコンサルタントのLoic Bizel氏は語りま
す。「トレンドが生まれ、そこでストップしてしまう。」と、彼は表現してい
ます。さらに、「多くの日本のブランドが外国へ行きたがってさえいま
せん。」と語ります。
これは一理あるかもしれませんが、資金面でのリスクを考えるとそう
簡単に動けない、ということもあるんじゃないかと、僕は思っています。
海外に行きたがらない、というのはちょっと言い過ぎではないかと。
大手の商社が絡んでいるか否かで、だいぶ海外に対する訴求の規模
も変わってきますし・・・。
Loic Bizel氏のビジネスモデルは、結局日本で流行っている海外からの
アイテム、H&Mや、トップショップの最新の作品を大量に買い付けて、リ
サイズにして日本仕様にして、海外の人に販売するということを行って
いるようです。結局、日本にはお金が落ちない仕組みになっているとの
こと。
【日本のアパレル産業 輸出高で見る脆弱さ】
・2008年の日本の衣服の海外への輸出高 4億1,600万ドル
・アメリカの衣服の海外への輸出高 36億8,000万ドル
・中国の衣服の海外への輸出高 1,130億ドル
これらを比較して、いかに日本のアパレル産業が輸出に弱いかを説明
しています。そして、不況となった2009年の輸出高はさらに減少すると
予想しています。
【専門家が考える日本のアパレル企業の現場と海外マーケット】
伊豆陸氏(野村総合研究所のアナリスト)は、言います。「日本のファ
ッションはこれからも先端を行くと考えられるかもしれませんが、海外市場
は主にとらえどころがありません。」「日本のファッション産業は非常に断片
化されています、そして、大抵の企業はそれらのブランドを海外市場にも
たらす財源とノウハウを欠いています。」支える組織が必要なんですね。
【政府の取り組み】
・外務省公認のカワイイ大使
NY timesいわく、政府は日本のアパレル産業を助けようとしています。外
務省が送り出したカワイイ大使は、日本のブランドを海外に進出させ
る起爆剤となるかもしれないという趣旨が書かれています。NY timesは
事業仕分けのことをしらないようです。
なお、カワイイ大使の3人の女性については、過去の記事を読ん
でください。ロリータファッション、なんちゃって制服、ゴスロリです。
・NYコレクション内のJFW IN NYC(日本ファッションウィーク)
こちらの企画は経済産業省のもの。東京コレクションを含むJFWで活躍し
ているブランドをNYコレクションの一部で展示会として披露して、認知度を
あげていこうというもの。以前、本ブログでも紹介させて頂きました。これは、
面白いですよねぇ。でも、やっぱり事業仕分けの影響を受けるのが、この
JFWだったりします。
外務省の広報文化交流部の事務総長いわく、「日本のファッションには、
とても多くグローバル化する可能性を含んでいます。」と言っています。
しかし、NY timesは、今の政府が推し進めているのはあくまでニッチ
(隙間)の市場だ、と言及。
【技術流出ではなく、海外で戦える財源を】
NY timesが言うには、かつてのヨウジヤマモト、イッセイミヤケ、川久保玲
のような3人に、若手デザイナーはなってほしいことが書かれています。
JFWから先、なかなか伸びてこないモトナリオノ、イズリールの高倉一浩氏
があがっていますが・・・なかなかチョイスが渋いというか・・・なんというか。
ファーファーは、職人芸のような仕事が行き届いているボロボロに加工され
たトレンチコートなどは、業界の内輪からは絶賛されているにもかかわらず、
それは東京の1つの小さい店しか持っていません。
「もちろん、海外で私のブランドを取扱うのは夢です。」と、ファーファーのデザ
イナー古橋 彩氏は言いました。 「しかし、正直なところ、それは私たちの現
状から、はるか超えてしまう話なのです。」と。これは、やはり戦略と財源の
ことが大きいのかな、と僕自身は思いました。
【結論:では、いったい日本のブランドはどうしたらいいか?】
専門家いわく、彼ら日本のデザイナーが、海外で販売できる具体的な助け
が必要です。それは、マーケティングであり、海外での販売ができる空間
のセッティングです、ということを述べています。
さらに、日本政府は、日本のブランドの知的所有権を保護することが重要
であるとも述べています。その解決策として、株式会社ゼイヴェル
( XAVEL,Inc. )がパリと北京で行った、携帯電話でリアルタイムでショーの
アイテムが買えるシステムをNY timesは勧めています。要は、東京ガール
ズコレクション方式。デザインをパクられないようにするための1つの方
法。この方式を、日本のブランドは海外で展開していっては?ということ
です。
もっと短くしたかったんですが、私の英語の勉強も入ってしまい(笑)、結構
訳してしまいました。結局、またNY timesにダメ出し食らった形でした。日本の
良さを知っているのは、日本人よりも海外の人達、歯がゆい!・・・。やり方
ヘタ、ということが言いたいのだと無理やりまとめてみました。
海外のモードブランドのデザイナーも気にする東京のストリー
トファッション、海外に取られていては勿体無い。ぜひ、気鋭の日本人デ
ザイナーと、それをバックアップする組織の活躍を見たいものです。
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何が変われば良いのか?政府なのかメディアなのか、ファッション業界なのか、消費者なのか…
今のままだと、ファッションに絶望する人が増えていきそうな時代の流れが怖いです
具体的には連携プレーが必要ですね。「仕分ける前に、シナジーを」そんな考えもあってよかったかも。