■ネット上では世界中の人たちは日本のファッションをどう考えているか
ずいぶん大きなテーマですが、要は日本のファッショントレンドについて、「検索結果から提供されるネット上の情報を操作してネットワーク化する、可視化するテスト」。こういったことができるアプリケーションがアルファ版で開発されました。Butterflyzerという検索ツールです。IBMのEclipseという総合開発環境(IDE)をもとに海外つくられたアプリケーションです。以下から誰でもダウンロードできます。無料ですよ。
これは、Twitter, Open Calais, Topsy, Google Insights, PlaceMaker・・・ほか、多くWebソースから検索したワードの検索結果をネットワーク上で見せてくれます。 一体どんなものよ?という方は以下の動画でサクっと雰囲気だけつかんでください。益々分からなくなった方は、結果を下に示しながら説明しますのでご安心を。
クリックすると大きな画像で見れます。
【先に小結】
Butterflyzerを使用して、検索結果を抽出したことから分かったことを先に書いておきますね。上図のグラフのネットワークの中心にある、青文字のワードが検索ツールで入力ワードです。「fashion japan trend」です。これを中心に「→(ネットワーク)」で影響を与えているwebキーワード、web情報につながっていきます。さらに、そのキーワード、情報から「→」で間接的にほかのキーワード、情報に拡散していきます。
検索結果から、東京のファッションを海外に伝える3サイト、「東日本大震災のチャリティー」「脳波ネコミミ」に関する記事が非常に強いつながりがあることが分かった。さらに、「WikipediaのGangro(ガングロ)」は、単独で日本のファッショントレンドを表す情報としてネット上で大きな割合を占めている。ここから、「egg Ageha Popteen」とギャル雑誌、「モトナリオノ 柳井正」などファッション関連のwebキーワードに影響を与えています。海外の人たちは、もしかしたら日本のストリートファッションについて懐かしい「ガングロ」に重きを置いているかもしれませんね。
あとは、NY timesの記事(原宿のストリートファッションと東京ブランドの記事)から、経済的なキーワードに影響を与えています。では、詳しい説明をどうぞ。
■ネットワークができるまでの過程と結果■
Butterflyzerを使用して検索します。皆さんググったりするのと同じことです。ただ、出てきた情報量、分類が豊富なのがこの検索ツールの特徴。さらに、それを自分で調整できるのがポイントです。
日本語で検索してもよいのですが、関連の薄い情報が多く精度があまり良くないので、英語での検索結果オンリーにします。「fashion japan trend」と検索した場合(3つのワードが1つの検索ワードとして設定)、どのwebソースやキーワードが大きな情報量、あるいは検索ワードに近い関連性を持つか、ということが把握できます。
凄まじい数の情報が検索結果として抽出されたので、明らかに関係がないキーワード、関連性はあるけど情報量が少ないキーワード、ソースを1つ1つ省いていって掃除をしました。さらに、Twitterのリツイートを消したり、フィルターにかけた結果が、上のネットワークです。真ん中の青文字が検索ワード「fashion japan trend」で、薄いブルーの「→」が検索結果からダイレクトに関係している情報。黄色の「→」間接的に関連している情報に拡散したものです。人の名前、企業名、貨幣、都市、国、医療、季節、記事ソースなどButterflyzerはオリジナルアイコンでうまく分類して表示してくれるので、見やすいんですよ。
【日本のファッショントレンドのキーワード検索に影響を及ぼすサイト】
http://www.fashioninjapan.com/ (このサイトが影響を与えているキーワード:ナイキ ジョージコックス トロント 日本)
http://www.japanesestreets.com/ (このサイトが影響を与えているキーワード:日本 東京)
海外の方々は、このサイトで日本のファッショントレンドについての情報を得ている可能性があるし、このサイトからさらにつながっているキーワードがあります。
▲今日本のファッショントレンドと関連性の強い情報は、震災、脳波ネコミミ▲
この検索結果のネットワークを吟味してみると、東日本大震災に関係しているキーワード「Natural Disaster」、本ブログでも紹介した脳波ネコミミ「Cat Ears」が出てきます。以下で、検索結果に影響を及ぼす記事にこの2つの内容があります。
【日本のファッショントレンドのキーワード検索に影響を及ぼす記事】
NY timesの記事: Paris, Milan, Tokyo. Tokyo?
TRENDLANDの企画:Tears for Japan poster collection
Japan style infoの記事:Fashion Trend Changed after the Quake
Japantrends.comの記事:Cat Ears Controlled by Your Brain
この記事の中に上記の東日本大震災と脳波ネコミミのことが掲載されています。
また、興味深いのは10年以上前にギャルの間で流行ったガングロ。Ganguroとして、Wikipediaで載っているのですが、非常の大きな影響力を持っています。
Wikipedia「Ganguro」→「egg Popteen Ageha」「モトナリオノ 柳井正 高倉一浩・・・」「イギリス」「日本」「アメリカ」「東京」(ここでは分かりやすいように日本語表記になおしてあります。)
ガングロは日本のファッショントレンドとして、ネット上ではかなり大きいです。
さらにもう1つ、大きいキーワード、情報があります。メンズのストリートファッションに関することです。本ブログでも紹介させて頂いた、NY timesの考察:日本のストリートファッションの可能性に一番気付いてないのは日本人?の引用先の記事、Paris, Milan, Tokyo. Tokyo?です。
これは、灯台下暗しのお話でした。ジャパンブランドのデザイナーが、キャットウォーク化している原宿を軽視していて勿体無い。インスピレーション元は、海外に比べたくさんあるという内容が書かれています。
Paris, Milan, Tokyo. Tokyo? → 「ユニクロ」「ビジネス ファイナンス」「野村総研」「フランス 中国」「円」「ファーストリテイリング」「ファッションコンサルタント 主任研究員」
こちらのネットワークは、経済に関する色合いの強いネットワークですね。
簡単に説明してみました。Butterflyzer自体、まだアルファ版なので改善の余地がありますし、私ももうすこしやり方を改善すれば新しい発見があると思います。なかなか面白い調査でした。さらに本ブログを使ったブログ分析(テキストマイニング)も行うので、気長に待っていてください。
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