■古着リメイクを得意とするキタコレスタイルは、職人気質の日本人ならでは文化の派生
HUgE (ヒュージ) 2012年 05月号 [雑誌] 講談社 2012-03-24 売り上げランキング : Amazonで詳しく見る by G-Tools |
HUgE5月号は、通常運転の雑誌となりますが、なんか紙質も変わってコストを下げている印象。正直、栗野宏文氏のロングインタビュー「栗野宏文が語る日本ファッションの現在」を読むまではいまいちでした。
読み終わった感想は、すごく爽やかな風がスーッと流れたような気持ちのよい感覚が。栗野宏文さんは、ジャンルを問わずアンテナを常にはって、ファッションの流れを整理し、俯瞰しているのが感服いたしました。
ユナイテッドアローズのクリエイティブディレクターである栗野宏文氏は、1年間に世界のコレクション(パリミラノロンドンコレクション)にメンズ2回、ウィメンズ2回、生地展2回行くようです。さらにNY1回、ピッティウォモももちろん行くようでして、強行スケージュールをこなしています。それに加えて、アントワープ王立芸術アカデミーの卒業展の審査員も務めています。日本の中でもプロ中のプロの眼を持っている稀有な存在であることは間違いないと思います。
その栗野宏文氏が、今注目しているストリートファッションが「高円寺系ファッション」。そして、この高円寺系ファッションの小さな動きが、昔から日本にあるMade in Japanのクラフトマンシップから流れ着いているというんだから、これは面白いなと。
高円寺といえば古着屋のイメージがあるんですが、高円寺系ファッションはキタコレ周辺の若者達のファッションを指しています。キタコレとは、高円寺の北中通り商店街にあるキタコレビルという名のバラック風の建物のこと。第9地区とは違いますぞ。
詳細は、ACROSSやnippon.com読んでみてください。2009年に、杉並区役所でファッションショーを行った古着屋集団から少しずつ拡大。
高円寺駅北口から徒歩約5分。阿佐ヶ谷方面へ伸びる北中通り商店街に、ひときわ存在感を放つバラック風の建物がある。現在5軒のアパレルショップと2店舗のスナックが入居する「キタコレビル」だ。ここ数年、同ビルに入居する「素人の乱はやとちり」「NINCOMPOOP CAPACITY(ニンカンプープ キャパシティ)」、「GARTER(ガーター)」「シークレットDOG」「ilil(イルイル)」の5軒のアパレルショップを目あてに、高円寺を訪れるアラウンド90年生まれの若者が増えているという。
古着のリメイクなんですが、かなりエッジが効いているんですよね。雑誌「FRUITS」の原宿カルチャーの影響を受けた90年代前半に生まれた世代から生まれたスタイル。レディ・ガガ、ジェレミースコットが好きそうな、と思ったら最近スコット来ていたんですね。キタコレのアイテムは、自由な発想で人の手作られた1点ものが多いので、量産ができないことが難ではありますが、エネルギーがある。これに、渋谷のFAKE TOKYOを加えて高円寺系ファッションだそうです。要するに、レディ・ガガにジェレミースコットのテイストです。
裏原とか、中目黒のとか、こういう自分達で作って売るという考えは、大小場所を問わず日本には昔からあって、世界のファッションの聖地にはほとんどない文化で貴重であるということを、栗野宏文氏は語っています。
「ドメスティックブランド&デザイナーの現状」という見出しの中で栗野宏文氏いわく・・・、
いろいろな国を見ても、たとえばラルフローレンでメイドインUSAがあるか、と言ったらほとんどないです。たとえば、バーバリーでメイドインイングランドがあるかって言ったら、それもないですよね。エルメスはメイドインフランスのものばかりか、と言ったら、これも大多数ではない。主にイタリアと日本だけが自国で生産できるわけですよね。特に日本は。どんどん工場が潰されちゃったりしていますが、それでもメイドインジャパンでできます。コムデギャルソンの95~95%、kolorの95%くらいはメイドインジャパンでしょう?
<中略>
しかも素材から作れます。kolorの阿部潤一さんの作品を見ると、全部素材から作っているんですね。あれっていちばん最初に川久保玲さんや山本耀司さんがやり始めたことですよね。まず、素材からつくると絶対に差別化ができる。
日本のブランドで、日本での生産は出来上がりまでのリードタイムが読めるのも大きいそうです。また、日本人は納期を守るところがあるので、末永く付き合いができますよね。経済不況で崩壊しかかっているのは残念ですけど。
こういうディテールまで日本人の眼が行き届いたが故に、他の国の生産まで再考させるにまで至った国があります。アメリカです。今旬なわけですが、元々アメリカも生産は海外。一昔前はアジアで大量生産ならOKという意識。メイドインUSAの生地屋はペンドルトン、ウールリッチくらいのようです。
服作りでメイドインUSAの素晴らしさを、アメリカ人に見せつけたのが日本人の鈴木大器氏。エンジニアードガーメンツですね。「GQ/CFDAメンズ新人デザイナー賞」の初代チャンピオンです。
その一連の結果がアメリカの遺産、ヘビデューティーなワーク、アウトドア、ミリタリー、トラッドという、質実剛健、クラフツマンシップを起こしたという。回帰することになったと栗野宏文氏は分析しています。こういうアメリカのヘビデューティーなアイテムを「男気系」と分類しています。面白い表現ですよね。
本ブログでも、ニックウースターとGQチームが開催した企画を紹介しました。なぜ、「日本はアメカジをカスタマイズすることに長けているかを探る」というもの。アメリカからインスパイアされたものを日本人はさらに洗練されたものにする、自信を取り戻そうぜ!USA!USA!というわけです(笑)。
大量生産の時代が終わり、ファストファッションが猛威を振るった時代も落ち着きつつある。その中で、ものづくりに励んでいるのは日本とイタリア。どちらも経済状況はよくないですが、支えていることは確か。そして、そういうDNAが高円寺系ファッションを含めて、日本の縫製の技術などハイポテンシャルであると言い切れることが本雑誌では読み取れます。駅ナカのユザワヤなんかも例に出されていますが、根本的に日本人はよくものづくりができる国民性を有している、ということを改めて感じました。とりあえず、僕はビズビムのSanjuro Kimonoが欲しいんですがハードル高いです(汗)。
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紙は安っぽくなりブランド広告のスタイリング写真だらけになっててビックリしました
栗野さんへのインタビューは良かったですね
ウミットベナンをかなり高く評価してましたね
ファッション界では日本人だけはストレートが多いっていうのも面白かったです
ビスビムの着物はかっこよさげですよね
染色も良さそうだし
あとは粋に着こなすだけですね(笑)
読まれましたか、ストレートによるストレートな・・・というような表現がなんとも面白かったですよね(笑)。オートクチュールの職人おばちゃんと話す場合はダメのようですが。