■マスキュリンをどう解釈するかで勝負 紳士 or オヤジ
さあ、勝手にやってまいりました、恒例の流行るブランド予想。
流行る流行らないは、相変わらず個人的な経験値かつ主観的、最後は直感的(笑)な尺度に委ねられているんですが、自分なりに集めた情報を考慮して決めるわけでございます。
今回はA/Wということで、価格が高めになることを重視しなければならない。さらに、日本のブランドのほうを重視したためインポートは少なめに。 でも、プラダは別。2012-2013A/Wの白眉
その上で流行るであろうブランドとして、KURO、カルヴェンはかなり堅いかなと思いました。KUROは、デニムだけでなく、ウェアラインを登場させて、日本国内の名立たる工場と生地で生産するというこだわりは、今の若者からおじ様まで受け入れられるポジションのはず。アメカジでもなんでもコーディネートできる幅の拡がりに注目しました。無論、おじコーデ(おじさんぽいコーデ)も。
また一方で、相変わらず人気中目黒系のショップ、ブランド。「おじコーデ」の名のもとに、ドメスティックブランドも渋いデザインがまだ人気。これには、GQとJCペニーのクリエイティディレクターに就任した、ニックウースターも視察に来ています。そして、ニックウースターの考えた結論がプレッピー、アウトドアを軸にしながらも「カモフラ柄」をデザインによく取り入れるように。この辺の流れは、今後にも関係してくれるのでちょっと把握が必要です。
引っ掻き回してくれたのは、レディー・ガガですよね。日本のブランドを積極的に衣装として着用したり、かなりハードコアなスタイルが若者の間でも、注目されていると思います。
それではどうぞ。
順位 | ブランド名 | 備考 |
1 | KURO | もうデニムだけじゃない、国産パラダイス |
2 | カルヴェン | カルバンじゃないからね、カルバンじゃないよ |
3 | ファセッタズム | ギャルソン出身のストリートファッション ザ・東京 |
4 | ブラック・アンド・ブルー | ピッティ・イマージネウォモに参加 |
5 | プラダ | 貴族 伯爵 閣下 殿下のお出まし |
6 | H&M | マルタンマルジェラとコラボレーション |
7 | Jクルー | アジア進出 日本再上陸が待たれる |
8 | ディガウェル | 中目黒発 世界も注目する雰囲気イケメン御用達ブランド |
9 | トミーヒルフィガー | 今季は一気にヨーロッパ風 |
10 | ルイヴィトン | 着物風ジレ、ラグ、ブローチがくる |
11 | パスカルドンキーノ | デザイナーはシアタープロダクツの武内昭 |
12 | エフィレボル | クレイドルとのコラボ“Neo Vintage”発動 |
13 | ドリスヴァンノッテン | サイケデリックエレガンス!Gijs Frieling、Job Woutersとコラボ |
14 | アクネ | 11月に南青山直営店がオープン |
15 | ピエールバルマン(バルマンオム) | ロシア皇帝!でも、創業者の名前のほうが安いんです。 |
16 | ウミットベナン | ザ・オヤジミリタリー炸裂 |
17 | クリスチャンダダ | レディー・ガガが着用 行燈東コレも話題に |
18 | WHIZ LIMITED | whiz limited x mita sneakers x new balance cm1700 長いぜコラボ無双 |
19 | イヴサンローラン | ステファノ・ピラーティ最後! YSLも最後!でも高すぎ! |
20 | チャーチ | Stratfordが冠されたオリンピック限定グッドイヤーウェルテッドシューズが登場 |
アンユーズドやビューティフルピープル、バブアーは、もう定番行き。ミハラヤスヒロのカモフラ柄スーツもだいぶ話題になるかと思ったけどパスで。
ドルガバ、アレキサンダーマックイーン、ナゲッツ、まとふ、フィグベル、サンシー、ステューシー、バラクータ、エトセンス、アンリアレイジ、シセが入れられなかったのは残念。
簡単な見解:キーワードは男らしさ(マスキュリン)
◎スーツスタイル:ロンドン五輪の影響も?英国調の構築的なスーツスタイル、オーバーコートにダブルブレスト
◎ワーク、カントリー、ミリタリー:バブアーライクなカントリー、ニックウースターのカモフラ柄
◎黒とポスト裏原:日本のメンズストリートファッションシーン
2012-2013A/Wの流行るブランド予想の決め手は、「男らしさ(マスキュリン)」なんですが、スーツスタイル、ロンドン五輪、ニックウースター・おじコーデ、レディ・ガガなど様々分類。はっきりとしたトレンドセッターが不在の中、いくつかに分類しつつぎりぎりまで削ぎ落として決めました。
また、パリミラノコレクション2012-2013A/Wからみるファッショントレンドを参考にして考えた結果となりました。
ロンドン五輪×スーツスタイルでブリトラ再燃?
◎構築的なスーツにカントリールック、バブアーを意識したフィールドジャケット
今年は、とにかく英国を無視できない。今まで紺ブレ、ジャケパン、パステルカラーといったアイビー、プレッピーライクだったデザインが、色はグレーかレッド。
ハンチング帽、ステッキ、ツイード、チェック、チェスターフィールド含めロングコートなど。英国紳士、伯爵のイメージ。
一番分かりやすいのは、英国のシューズブランドチャーチ。ロンドンオリンピックの会場 Stratfordが冠されたオリンピック限定グッドイヤーウェルテッドシューズが販売。これは、日本でも販売されれば来るなと。インソールがユニオンジャック。
サヴィルロウも黙っていません。アレキサンダーマックイーンは、ハンツマンとコラボレーションして本格的なビスポークラインを立ち上げました。バーバリープローサムは、ふんだんにブリトラの要素を入れたコレクションに。
このほかに、スーツのスラックスがフレア、ハイウェストが目立ち、スキニーは少し少なめだったかも。60年代から70年代のファッションがベースになっているようですね。
一方、ウミットベナン、ディオールオムはミリタリーで勝負。ランウェイショーでも目立った髭を蓄え、古い言葉だけど肉食系だぜ!細マッチョよりもゴリマッチョ!そんな男臭さが感じられた。
◎バブアーの影響拡大
バブアーは有名なフィールドジャケット。先シーズンバブアー×tokitoがフィーチャーされました。今回は殿堂入り。このフィールドジャケットをモデルにしたブルゾンが2012-2013A/Wでは見かけました。ヴァレンチノ、バーバリプローサムなどなど。
◎プラダに注目するべし
VOGUE HOMMES JAPANでも、バイヤーのほとんどが注目しているプラダ2012-2013A/W。有名の俳優をモデルに起用してレッドカーペットの上を伯爵のようなイメージのロングコートを着用。それはまるで・・・映画の予告かよ!と突っ込みたいほどダンディズム。あえて、味のある俳優を選んだのもミウッチャ・プラダの戦略。ただ絶対高いよね(汗)。
プラダ 2012-2013A/W キャンペーン広告
カルヴェンは来る、でもKUROを1位に
大手アパレル関係のショップが、取り扱いをはじめたフランスのブランド。アーティスティック・ディレクターはギョーム・アンリ。カルヴェンのメンズラインは、もともと中間層向けの価格帯。それで、ハイクラスのクオリティーを実現させるという目的があります。男性がためらわず買う、これがカルヴェンのメンズラインの目標。メディアでも取り上げられていて露出されるようになってきていますし、今ホットなブランドと言ってもいいでしょう。
◎それでもKUROを1位に
でも、1位にKUROを入れたのは、日本のブランドを1位にしたかったからです。 それから、価格と品質、製品カテゴリの拡張、素材から縫製、加工に至る工程を細部までこだわって作っているKUROはとても安定しているブランドだと思います。
KUROは、ピッティ・ウォモでも高い評価を得ています。ザ・ベーシックながら、ほどよい加工なので着回しとして優秀。特にカッコつけないで、キレイめアメカジもできる。ジーンズ以外のシャツは、綿織物の産地として知られる浜松の古橋織布製オリジナル生地。縫製は、1886年創業の老舗シャツメーカー、CHOYAシャツの技術を使用。
テーラードジャケットは、オリジナルのウール生地。愛知県尾張一宮DOVA製。Begin系、メンズジョーカー系などのこだわりのある男子にはウケるはず。
この他にも、ピッティ・ウォモに参加した話題の集団が。2012-2013A/Wピッティ・イマージネウォモに多く参戦。これは、コンテンポラリーフィックスの吉井雄一氏が仕掛けた企画。評価の高いブランドもあったようです。この中からもランクインさせているものもありますし、エッジの効いたテイストの強いものを中心に選んだ背景があります。
されど日本 中目黒系、ポスト裏原世代
◎ストリートファッション、ワーク、古着、ミリタリー
コムデギャルソン出身で、90年代の東京のファッションから着想してコレクションを行ったファセッタズム。業界関係者からの情報でもかなり来ているようです。ハイ・ストリートファッションとして2012A/Wでの勢い強し。
そして、1LDKからコンテポラリーフィックスまで広く取り扱っているブラックアンドブルー。これも、もうランクインさせたかった。パタンナーだったデザイナーが、収集したアメカジ古着をもとに作り上げていく。 これは、そのままディガウェル、エフィレボル、ナゲッツにも通じるかと。
今まで、マーカウェア、アンユーズド、ノンネイティブ、ヤエカ、トローヴ、ナイジェルケーボン、マウンテンリサーチから受け継いだ中目黒の渋さ。さらに、中目黒系の強い味方も現れました。アメリカのチョイ悪オヤジ、ニックウースターです。
◎ニックウースターのROJECT WOOSTER
秋冬からユナイテッドアローズとのコラボレーションラインも立ち上げるニックウースター。ここ1,2年でかなり日本を意識したメッセージを送っています。
1シーズン前から、ミリタリー、カモフラ柄がトレンドとしてあげられると思うのですが、JCペニーのクリエイティブディレクターになったニックウースターは、その辺を日本のファッションを通して強く意識しています。というか、ラスベガスで開催されたROJECT WOOSTERは、アメリカのデザインを昇華させたジャパンブランドのキューレーションでした。
アメカジが、ストリートの主流である日本を視察したニックウースターは、Made in USAの復権を計画。特に、エンジニアードガーメンツ、ユケテン、ビズビムといったMade in USAだったり、アメリカ人も気が付かないディテールの凝り方をしているブランドに思わず脱帽したことを語っています。そんなニックウースターの中に、火をつけるものがあったのでしょう。
ここで、あえてニックウースターを出したのは、アメリカファッションを代表する人物。彼が、日本のアメカジ、古着スタイル、つまり中目黒系のおじコーデ(おじさんっぽいコーデ)の良さを述べているので、さらに成長する可能性があるということです。
◎ポスト裏原とスケーター
スケーターファッションが再燃しつつあるというのことを、昨年のPOPEYEなどのファッション誌で見ました。つまり裏原系のような存在です。
英国の、カルト的な人気があるLN-CCで特集された企画として、90年代の東京ファッションを受け継いだものを掲載。ファセッタズム、サスクワァッチファブリックスのデザイナー達が、アンダーカバー、NIGO、藤原ヒロシという名前をあげています。
◎レディー・ガガの存在
レディー・ガガの御用達ストア、渋谷CANDYでも取り扱われているクリスチャンダダは、もともとリブレゾンのデザイナー森川マサノリ氏が独立して設立したブランド。かなりエッジが効いているのと、ダークな雰囲気が特徴的。レディー・ガガの衣装も提供。
前のシーズンから、東京コレクションの活用術も秀逸で話題に。行燈のような微かな光の中で行われました。これは、パリコレのシャルル・アナスタスの元で研鑽を積んだ影響もあるとか。コレクション全体も黒。 なお、クリスチャンダダのほかにも、賛否両論アンリアレイジ、キタコレ系などのエキセントリックなものも入れようと考えましたが、今回はパス。
雰囲気がちょっと変わったブランド
◎トミーヒルフィガー
トミーヒルフィガーといえば、プレッピーなイメージが強いんですが、2012A/Wはヨーロッパのような雰囲気でした。これは、英国のデザイナーサイモンシュプールの存在が影響している模様。トミーヒルフィガーは、どちらかというとメディア露出が多いですね。ビジネスマンとしてもうまい。
◎アクネ
アクネに関しては、2013S/Sも面白かった。というのも、もはやジーンズブランドではないんです。レザーアイテム、ジャケット、シューズ、ニット、シャツ・・・カルヴェンと同じようなモテブランド化が進む。そして11月に南青山直営店がオープン。無視できません。
◎H&M
11月に、メゾン・マルタン・マルジェラとコラボレーション。H&Mの雰囲気をガラリと変わる作品が出てきそうな予感。いずれにしても、即完売でしょう。
◎ウミットベナン
髭、おじさん・・・ここまでは分かる。しかし、ストイックまでにミリタリーとは聞いていなかった。これは、逆にモテというより男らしさ、男臭さ炸裂のコレクション。
デザイナー最後のブラックコレクションは鬼高でも買う?
◎ステファノ・ピラーティ最後のイヴサンローラン ジルサンダー最後のラフシモンズ
男性のスーツスタイルをYSLのフィルターから抽出し、エレガントに最後のパリコレクションを見せてくれたステファノ・ピラーティ。価格はジャケットで30万円近くするようですが、ファンなら買うかも?
ラフシモンズの最後のジルサンダーも黒黒黒。「21世紀の黒の衝撃」なんていう言葉がどこかのファッション誌に書いてありました。入れたかったのですが、ちょっとマスが足りない。
流行るアイテム予想
「ラグ(着るブランケット)」 ルイヴィトン
「チェーンブローチなど胸ポケットの小物」 ルイヴィトン、プラダ
「クラッチバッグ」 グッチ、ボッテガヴェネタ
「オーバーコート」 プラダ、ルイヴィトン、バーバリープローサム
「フレアパンツ」 トラサルディ
「レザーパンツ」 ジルサンダー
「シースルーアウター」 ジルサンダー
「ハンチング帽」 バーバリープローサム ジュンヤワタナベマン
「ミリタリーアイテム」ディオールオム、ウミットベナン
「総柄アウター」ミハラヤスヒロ、ドリスヴァンノッテン
「ベロア、コーデュロイ」グッチ、エルメス
「ラバーソール」プラダ
背景を書かせて頂きましたが、20位までしかランキングが載せないことに決めているので正直すごく迷いました。なおユニクロさんは、今回外しました。プロモーション活動の一環とはいえ、駅前で7万枚機能性インナーを渡すのは、さすがにないなと思ってので。
というわけで、毎度のことながら無理やりですが、流行るブランドランキングを発表させて頂きました〜。
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KUROですね。
着たことないので注目したいとおもいます。
プラダは自分のいつもの格好とは関係ないんですが気になりますね。
スーツはSenseにでてましたけど高いですねえ。
プラダのオーバーコートを普段着でドレスダウンしてきてみたいです。
プラダは高いですよ〜。でも6年前くらいよりもクオリティは上がっていると思います☆