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2012年11月12日

冬の定番「ツイード」についての歴史と多様性

■本当はTwill(ツイル)だったけど、スコットランドのツイードリバーから間違えて名付けられた


1205のハリス・ツイードジャケット2012.jpg

昨年、ハリス・ツイードが100周年を迎え、10月20日に、「ツイードラン東京」というイギリス発祥のツイードを来て自転車に乗るイベントが開催されました。まさに、イギリスの歴史的遺産とも言えるツイードは、ジャケットとしてカントリージェントルマンに愛されてきました。

そして、そのジャケットは親から子供へと引き継がれるという伝統もあるそうで。トラッドの傾向にある生地であるため、トレンドとして若者の間にはあまりフィーチャーされなかったわけですが、アメトラの再燃以降、メンズファッション誌はどこも「ツイードはマスト」と言わんばかりの推し具合。そんな事いきなり言われてもねー、という方もいると思いますので、紹介させて頂きたいと思います。冬を迎えるにあたり、知っておきたい服の生地のお話や歴史、第3弾。私の勉強にもなるので、付き合ってください。


■ツイードの発祥、語源

起毛や縮絨(しゆくじゆう)を行わないため織り目がはっきりし,手触りも粗く量感がある。語源は,本来イングランドとスコットランドの国境に位置するボーダー地方で織られていた粗剛な綾織のツイル(twill)が,18世紀半ばころにスコットランド語でtweelとつづられ,しかもこの地方のトウィード川流域で製織されていたことからロンドンの商人がtweedと誤記したことによる。代表的な多色配色はヘザー・カラーheather colorと呼ばれ,イングランド,スコットランド,アイルランドの自然の草花の色調として親しまれている。

【出典:twill とは - コトバンク

本当は、綾織のツイルから来た言葉なんですね。それがスコットランド語のtweelと表記されて、tweedと誤記されたのが始まり。てなわけで、直接関係ないトウィード川(ツイードリバー)から「ツイード」が生まれました。
元々ツイードは、1830年から拡大した粗い紡毛(ウールン)を手作業で綾織することから始まりました。当時は「母さんが夜なべをして〜手袋編んでくれた♪」状態で、夕方から明け方まで生産に従事していという。ザラザラと粗い感触ながら勤勉な生地なわけです。

この生地ができる背景は、ずばり寒さから身体を守るためです。スコットランド産羊毛のことで、太い紡毛糸を毛染めして平織りか綾織(ツイル)をした総称です。非常に厚手で、ザックリとした肌触りが特徴。

ツイードに関する「その時歴史は動いた」、といえるのは1830年。ロンドンの商人がHawickの企業から一通の手紙を受け取ります。それは、商業に精通している学者から、スコットランドエリアの生地として商標登録したほうがよいのではないか?という内容でした。
最初に紹介した通り、ここでロンドンの商人が「tweel」を「tweed」に間違えてこの名前になったわけです。それからというもの、今もHawickではtweedの織物工場がたくさん稼働しているのがすごいと思いません?

 

 

■一般のウール(羊毛)と違う理由

 

日本で、一般的に着用されているスーツに使われている多くのウールと、ツイードは感触が違います。ザラザラと粗くて、かたい感じ。ここは、服部晋氏の『洋服の話』を読むとツイードというものがもっと分かりやすいです。それはウール(羊毛)は大きく分けて2種類あって、その1つがツイードであると。その違いは、梳毛と紡毛です。

羊毛の製品は2種類になります。梳毛と紡毛です。梳毛というのは、毛のかたまりから繊維をかきだしたもの(長めの上質の羊毛繊維を主体とした糸。糸の太さが均一でスラリとしている)を言い、紡毛は、毛をより紡いで作った糸(粗雑で短い羊毛繊維を主体とした糸。太さが均一でなく少し甘い)のことを言います。梳毛は「ウーステッド」、紡毛は「ウールン」と呼ばれています。<中略>普通の背広などに使われるのは、ほとんどウーステッドです。「ウールン」はどちらかというと柔らかみのある、やや太めの糸で、いわゆる「スコッチ」(ツイード)などがつくられます。

おおきなカテゴリで分けた場合、紡毛はツイード、フランネルにもなります。凹凸感があり、厚地なのも特徴。そして、頑丈で保温性に富んでいる。

 

 

■ツイード種類

ツイード=綾織、というのが昔だったそうですが、時代とともに平織、杉綾、「ニシンの骨」の意味を持つヘリボーンが登場します。基本的に厚手の紡毛織物としては同じ括りです。

さらに、同じツイードでもどこのツイードか?つまり産地で分かれるんですね。これこそが、ツイードのブランド化の促進につながります。後で説明するハリス・ツイードのタグなどは、品質保証の良い例。

ハリス島およびルイス島のハリスツイードが一番有名だと思いますが、ほかにエジンバラツイード、ドニゴールツイード、チェヴィオット・ツイード、シェットランド・ツイード、ドネガルツイードなどなどたくさんあります。

以下はハリス・ツイードとドネガルツイードについての動画をご覧いただきます。

ハリス・ツイード

ドネガルツイード

 

■ツイードは上流階級の紳士達の防寒着に使われ中流階級へと流れていく

 

ツイードがファッションスタイルとして注目されたのは、上流階級の英国紳士達の間からでした。狩猟とフライフィッシングのようなアウトドアで活躍する紳士にはもってこい。すぐにアウトドアのアイテムとして高い評価を受けますが、本当の意味でファッションアイテムとして認知されたのは、1848年以降。インヴァリーの氏族ファーガソンがバルモラルの土地をヴィクトリア女王の夫アルバート公に売却し、王室の邸宅として使われるようになってからと言われています。

その後、ツイードのコミッションが立ち上げられます。これは新しい居住者達によってツイードを保持することを希求されたことに従ってのこと。その土地特有の不滅のパターンとなっていくわけですね。

アルバート公が、自らデザインしたともいわれているバルモラルツイードはほかの土地のパターンとしても拡がり、グレンチェック、シェパードチェックと同様、現在でも使用されています。

 

■ハリス・ツイードの登場

時同じくして1846年、レディ・キャサリン妃は、ハリス島およびルイス島を植民地総督だった夫 第5代ダンモア伯ジョージ・マーレイから継承します。キャサリンは、2人の姉妹(ダンモア婦人)にハリス島およびルイス島(以後ハリス島)のStrondから権限を委託した。

そこは、昔から猟場管理人のために高品質なツイードを手作業で作っている場所として知られていました。なので、マレー・タータン柄をそのツイードでハリス島の織り手に模造させてみたところ、そのクオリティの高さに感動。ダンモア婦人は、時間と労力を費やして製造過程の改良。ハリス島の産業として確立するまでに生産工程を管理するようになりました。こうしてハリス・ツイードは生まれたのです。なお、ハリス・ツイードは、ハリス・ツイード協会の審査を経て「オーブ×クロスマーク」のタグ(家紋をアレンジしたもの)が品質保証として付けられます。上のロゴがそうです。

正確には、

「アウターヘブリディーズ諸島で染色され、紡がれた純粋なバージンウールを使い、島民の家で島民によって手織りされ、ハリス島、ルイス島、ベンベクラ島、サウスウスト島、バラ島で仕上げられたツイード」となっています。

出典: 田中輝彦 [マイベストプロ京都]

とあります。

お洒落だったエドワード7世(1841−1910)が英国王となった時には、ツイードジャケットは社会階層でも上ではない人達に拡がっていきます。というのも、決してコストが高くないからです。中間層の間では、ツイードジャケットを着るのはよく見られる光景となり、ツイードそのものは上流階級への野心の証として変化していきました。

主に、シューティング(ハンティング)ジャケットとして使用されていたが、ツイードの特性上バラエティ富んだ使用方法が生まれました。サイクリング、ゴルフ、モーターサイクルなど。「スポーツジャケット」という言葉は、これを含む言葉です。生地に耐久性のあるアウトドア仕様で機能的。
ツイードを代表する最も有名なアイコンは1908年にケネス・グレアムによって発表された「たのしい川べ」という児童文学作品に出てくる、Mr. Toadが溺愛したハリス・ツイードのスーツから大きな拡がりが確認できるとのこと。




■戦間期からアメリカントラッド、モッズ、映画への影響

1919-1939年の戦争中の間、ツイードジャケットは英国人のワードローブとなります。さらに、アメリカに渡り、Jプレスやブルックスブラザーズによってデザインが改善されます。そのアメリカのツイードジャケットは、アイビーの発祥であるアメリカ東海岸の名門私立大学のエリート学生によって着られるようになります。そこから、ツイードジャケットは米国内で異なるレベルの社会の中で拡大します。

しかし戦後になると、若者たちから起こったサブカルチャーのモッズが、見分けられるパターンとしてツイードが順応するようになるまで、大洋を隔てて人気で減少していました。

ツイードは、アメリカを横切るように拡がったことによって立ち直り、 1977年製作のアメリカ映画「アニー・ホール」で監督、主役を演じた、ウディ・アレンのはじめに語っている洋装がツイードジャケットだったことも、ファッションとしてのツイードとしてメモラブルなこととなっています。そのウディ・アレンの「アニー・ホール」のオープニングが以下。



これは個人的に、付け加えたいのですがツイードジャケットを素敵に着こなす例として観たいのが映画「ブリット」。キング・オブ・クールのスティーブ・マックイーンがカッコよく着こなしています。

実際、アメリカではツイードジャケットはラギッドアイビーという括りで独自の進化を遂げてきます。英国では、狩猟とフライフィッシングから始まりましたが、ほかにも、アメリカでは空軍用ジャケットなどアレンジされたものが出てきます。さらに、日本のアイビーの伝道者「VAN」の石津謙介氏。その辺の詳細は、『Free&Easy12月号』が詳しいのでぜひ読んでみてください。フライフィッシングジャケットのポケットは22cm×19cmで、機能面を重視しているところが他のジャケットと違うといった薀蓄が満載です。

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■多様化するツイード、そして原点回帰として見られるツイード

話は最初にもどって、ツイードジャケットをトレンドとして推す傾向は強い。もっというと、ジャケットだけじゃなく、キャップ、ヘッドホン、ブーツ、ワーカートラウザーなど、製品カテゴリーを越えて使用されています。ブランドだと、ナイキ、アレキサンダー・マックイーン、カルバン・クライン、ラルフローレン、メゾンキツネ、オリバースペンサーなどなど。

僕の個人的な印象として、最近のツイードジャケットってカッコイイな、と思ったのはエンジニアードガーメンツとバンドオブアウトサイダーズ、ナイジェルケーボンあたりなんじゃないかと思っています。あと、1205ですね。
さらには、ニックウースターみたいなアメリカンクラシックをストリートに落としこむノウハウを持つ人物は、ツイードジャケットをカッコよく着用しています。

そんなわけで、1世紀の時を経てあらゆるレベルのファッションメーカーから愛されるツイード。時にはその頑丈さに甘えて、シワを気にしてこわごわ着るのはでなく、鋼の鎧を着る気分で使い倒してみてください。私も今冬着たいと思っています。

【via】highsnobiety.com

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posted by No.9 at 22:20 | Comment(0) | TrackBack(0) | 議論 | 更新情報をチェックする
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