■時代のテーマは「ハピネス」⇒「スポーツ」「リゾート」「ドレス」「パーティ」
さらば、ファストファッション!──栗野宏文が分析する、2013年春夏のメンズファッショントレンド ≪ GQ JAPAN
私はユナイテッドアローズ(UA)のシニアアドバイザーを務めています。時代を読み、その時代にお客さんがどういう服を求めるのかを考える仕事です。メインの業務としてUA全体のシーズンごとのディレクションを決めるというものがあり、ここ10年ぐらい続けています。
1年半ほど前、私は2013年の春夏のテーマを「ハピネス」と設定しました。世の中はどんどん悪くなる一方です。けれども景気や政治が悪いと嘆いても、らちは開かない。だったらまず自己肯定をしようよ、と。自己肯定なきところに前進はありませんから。そこで2013年の春夏は、「まず幸せになりましょう」ということを打ち出したのです。そして幸福のシンボルという意味で、黄色という色を前面に出しました。
では、私の考えは正しかったのでしょうか? コレクションを見ると答え合わせになりますが、正しかったと思います。2013年の春夏のコレクションの大どころはどれもポジティブで肯定的です。色がキーワードで、どこを見てもダーク一辺倒なものがない。ユーロクライシスやアメリカの財政の崖など、ここ1年ほどの間、ラグジュアリーブランドは逆風にさらされてきました。けれど、こぞって前向きなメッセージを発信しています。
きちんとした服を着れば気分は前向きになる。それはハピネスという因子。「ハピネス」からは「スポーツ」「リゾート」「ドレス」「パーティ」という行動に細分化される。これが、栗野宏文氏の2013年の流行予測。きとんとした服だけに、ファストファッションの立ち位置があやしくなってきているということ。ユニクロや無印良品は、別の世界な気がしますが。
栗野宏文氏が、具体的にあげているブランドで、個人的に気になるのはドルガバですね。日本では、2006年くらいから若者にも一気に拡大しお兄系として殿堂入りしてしまったブランド。実はジーンズの品質は素晴らしいものがあったりするのですが、チャラいイメージが先行してしまって厳しいです。これが、払拭できればもう一度来るんじゃないかとも密かに思っています。
栗野宏文氏の流行予測の情報元は、新聞だそうです。その辺は、ユナイテッドアローズのクリエイティブディレクション担当上級顧問 栗野宏文氏が語る、ディレクションや流行予測のエッセンス (第1回/全4回) – THE FASHION POST [ザ・ファッションポスト]を読んでみてください。この人の理論武装が、かなり深いところまで行っているのを感じます。
流行というのは、カラーも含めある程度決まっていて、2013秋冬であればイギリスの流れが来ると思います。こういうのはファッション・ライフスタイルの最新情報と2年先のトレンド分析を提供する世界最大級のオンラインリサーチサービス『WGSN』なんかが調査して、消費者行動も含めコンサルティングしているわけです。
流行は透明人間。誰かを当てるよりも、どこにいて、どんな体型かさぐれ
しかしです。ここまで来たので僕の考えを書いてしまいますが、「トレンドはこれだ!」という「A=B」的な答えは本来できないと思うんです。でも、流行に敏感な人々は、答えが欲しいんです。うまいキャッチフレーズやすぐに自分のものにできる分かりやすさが欲しいんです。だから、仕掛ける側と現実が乖離していしまう。
ボラティリティ(変動の幅)を見ていけ、と私は思うわけです。風を読め、という言い方もします。確率分布のことなんですが、簡単に説明するために透明人間を登場させます。
透明人間=現実の流行と仮定します。透明人間は誰か?ということをずばり言い当てることができれば嬉しいのですが難しいですよね。一方で、透明人間が誰なのか知りたいのが心理。だから、本当はBさんかもしれないのに、メディアやコンサルティング企業は、Aさんというかもしれないし、Cさんというかもしれない。合っていなくてもそう言うんです。人間違い=時代の本当の流行と合っていない問題が起こる。
じゃあ、どうしたらいいか?先ほどの変動の幅の絶対値です。誰かは分からないけど、そこに必ず透明人間がいるということを証明してやると。それは、ペンキをぶちまけてやることです。そうすると誰かはわからないけど、体型がどんな感じか?シルエットがわかってきます。本質は100%分からなくても、間接的に予測をします。
見えてくるのはここまでです。あとは、個々がそこから分かることをうまく伝えられたものが勝利。
未来のことなんか100%分かる人はだれもいません。必ず、間接的にフィルターを通す必要があります。トレンドに関しては、アートと科学がその役割を果たすということをコラムニストのグレン・オブライエンは言っています。いきなり各論から入るよりも、総論。全体のシルエットをつかめ。そう思うところです。
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