■意外に長いスタジャンの歴史
SOURCE: Examiner.com
上の写真は、スタジャンの原型です。全然そうは見えないけど。エリート大学のユニフォームとして、今から100年以上前にスタジャンの原型は生まれました。ストリートファッションでよく見るスタジャンもはじめは違ったんですね。ちなみに、スタジャンとはスタジアムジャンパーの略で、和製英語です。アメリカでは、ヴァーシティージャケットと言います。フランスではブルゾンと同じポジション。レターマンジャケット、アウォードジャケットとも言って、こちらの呼び方のほうが古いっぽい。
レターマン:母校(後のアイビー・リーグとなる大学)のイニシャルをつけることを許された選手
ヴァーシティー:米国の大学などの代表チーム
アウォード:米国における賞を意味する。スクーカムなどのブランドはこの名称がある
スタジアム:米国のスポーツのスタジアム
90年代のファッションが再燃しそうな昨今、ストリートファッションの代表でもあるスタジャンも見かけるかと思います。
スタジャンの歴史がhighsnobietyで紹介しているので、面白いところをあげてみたいと思います。いわく、アメリカの文化の象徴的な存在としてとしてスタジャンは右に出るものはいない、という表現がされています。なんたって、スタジャンの歴史は122年以上遡る。リーバイス501の歴史が140年なので、そういう意見も頷けます。
■ヴァーシティー・ジャケットの発祥は19世紀のハーバード大学の野球チーム
スタジャンの原型は、アイビーリーグ(アメリカ東部の名門私立大学8校となった大学)のユニフォームから来ています。デザインは、大学のロゴや、イニシャルのワッペンが付いたりしています。
これは、先ほど紹介したレターマンジャケットという言い方もしており、「母校のイニシャルをつけることを許された運動選手」の証。つまり、エリート選手達が着用することを許されたジャケットだったんです。
その流れをつくったのが、19世紀のハーバード大学です。なので、時系列的にはアイビー・ルックが生まれる前から、スタジャンの原型はあったということが分かります。
そして、エリート選手が着用できるレターマンジャケットは、イェール大学やプリンストン大学と試合をするときに必ず着用することが伝統だったそう。
以上のように、スタジャンのルーツといわれるレターマンジャケットは、憧れの存在でありエクスクルーシブ、プレステージを表すジャージユニフォームでした。
■保守的だったレターマンジャケットは大学全体の顔に
1891年ハーバード大学の野球チームは、レギュラーウェアとして深紅色の「H」のイニシャルが左胸に付いた黒いセーターを作ります。そしてレターマンプルオーバーやカーディガンができたのは自然の流れでした。プルオーバーに関しては、イニシャルはいつも大きく前身頃の真ん中に、カーディガンは左胸に付けられました。いずれも、競技用の服の上から羽織れるようなつくりです。
さらに、チームキャプテンなどには、識別デザインとして袖、裾にストライプが付いたり、星が付いたりしました。
■レターマンジャケットの大衆化 高校生に拡大
エリート野球チームのレターマンジャケットおよびセーターは、やがてそのプレステージが薄れながら高校生の間で広がります。1911年のPhoenix Union High Schoolのフォトブックでは、それを示すものがあり、1930年になるとウールジャケットの袖がレザーでできているレターマンユニフォームとして導入されます。いずれもイニシャル文字が付いています。
このように、大学の野球チームのキャプテンやエリート選手が着ていストライプの裾が付いたデザインは変化し、イニシャル文字も刺繍したものよりも、毛羽立てやフェルト製がパッチされたものを採用されるようになります。
■ヴァーシティージャケットの登場、ストリートに拡大
レターマンジャケットは、1930年以降、高校、大学選手の代表チームのユニフォームとして、ヴァーシティージャケットにシフトしていきます。レターマンジャケットとヴァーシティージャケットは同じ意味合いですが、ヴァーシティーのほうがチーム全体をイメージします。
そうなると、当時の階級構造の第2層にまでそのデザインは拡がっていき、一般の人たちにまで着るようになります。商業的には大リーグのほうで大変人気となりました。大リーグチームのロゴやマスコットが付いたヴァーシティージャケットを市民が着て応援する。
典型的な大学の代表チームにあるヴァーシティージャケットは、大リーグを通して変化していき、ウールボディにレザースリーブというコンビネーションに規制されないデザインになっていきます。80年代からはサテンが多く使われています。
■スポーツ全体の中で拡大し、変化したヴァーシティージャケット
デザインにも自由度が出てきたヴァーシティージャケットは、野球だけでなく他のスポーツの中でも登場するようになります。バスケットボール、アメリカン・フットボールなどです。この拡がりの先に、80年代から90年代のストリートカルチャーで大変重要な役割を果たすことになります。
■ヒップホップとストリートカルチャーで開花するヴァーシティージャケット
これは、オークランド・レイダースのスタジャン。弟が大昔買ったもの。こんな感じでチームのロゴが尽きます。
80年代から、ニューヨーク・ニックス、オークランド・レイダースなどのヴァーシティージャケットは、その存在自体有名になり、より安い素材で作られるようになります。
富裕層の多いアイビー・リーグの大学とは別に、Run-D.M.C.やN.W.A.などのアフリカ系アメリカ人から構成されていたヒップホップグループのアイコンとなっていくわけです。この辺で、当時「渋カジ」が流行っていた日本でも「スタジャン」として認知されていくことになります。
■ステューシーとオーセンティックなスタジャン
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サテンで作られたスタジャンが、スポーツ界でも一般となった一方、昔ながらのつくり(レザースリーブ仕様のウールメルトンボディ)にこだわるブランドがありました。それが、ステューシーが持つ伝説的なスタジャンStussy Tribe Varsity Jacketsです。
1987年に初登場したHomeboy Jacketからステューシーといえばスタジャン、というロイヤリティを得ることに成功。ナイキ、ア・ベイシング・エイプといったスポーツ、ストリートブランドとコラボレーションも展開し、スタジャンの定義に新しい1ページを築きました。
■ハイ・ファッションとストリートの間となったスタジャン
時代は、2000年代に入り、パリミラノコレクションに参加しているラグジュアリーブランドもスタジャンを出して、その存在はまた変化しています。ポールスミスはタイトなシルエットで良い素材を使ったスタジャン、日本ではN.ハリウッドが2013S/Sとしてレターマンジャケットを出しています。さらに本場アメリカNYでは、米国内最高峰の工場で作って、デザイン面で洗練させてモードに昇華させたティムコッペンズが話題となっています。
いかがだったでしょうか?結構昔からある存在だったというのは意外だった感じです。 スタジャンを見る機会はあると思いますが、使われている素材などで表情が違う点を確認していくと面白いかもしれませんね。
【via】highsnobiety
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