■世界に比べ、素材と作りに特徴のあるジャパンブランドは原価率が高いのか
海外の大手ストリートファッションサイトhypebeastが、日本製が高い理由について考察を書いています。ファストファッションも拡がり、洋服の国である欧州から遠い極東で、価格の高い商品を販売する背景を説明しようという。いつもハイ・スタンダードであるというのは品質からなのか?いやそれだけじゃあない。じゃあ、なんで高いということを正当化できるかのか。以下のように分類されました。
1】素材
昔から、日本では職人という存在はディテールにおいて手作業で行うことを意味する、これは一般的なライフサイクルの中で自然なこと。そして、その側面は今のアパレル商品でも見られます。ディテールにおいては、レアでデリケートな素材を使いファッションアイテムとして融合をさせて消費者に届けられます。
牛革からレザーアイテムができるということは有名だけど、もっと異端な動物から生地づくりをする探りだす。例えばビズビム。ディアスキン、レイヨウ、エルクの硬いものを使ったりすると。原料の処理の方法を変えなければならないので、異なるオイルを使って、いろいろスペシャルな商品になっていく。これが、世界のレザーと差別化できるそうです。
というのも、世界の大手メーカーは、確保する量が不安定なレアな素材を使うという発想がない。 すべての商品が、品質管理の規準に達するという保証もないというリスクもある。資料不足が原因で、結局同じ素材を使っているようですね。
2】製品と生産システム
工場で働くスタッフは、上記のような扱うのが難しい素材を使うことから、予期せぬことがたくさんおきます。ベルトコンベアで同じ流れ作業を永遠としているわけではありません。
ザ・リアルマッコイズで言うなら、若手で、エネルギッシュ、知識の豊富なスタッフが、独自の考えで自由に仕事に取り組むことができているそうです。最低賃金でも、それは問題ではない。彼らは、ザ・リアルマッコイズの企業に直結していることが大切で、服の生産そのものというよりもブランドのファンの1人なんだそう。
自分のペースでじっくりものづくりに取り組む若手のスタッフの技術は風化されない。そして、誤って縫ったところや、穴あけのミスに気づくことができます。皮肉にも、このような方法は、品質を向上できますが、少量しか生産できないたため結局高くなるそうです。
3】流通面の特徴:卸と価格
日本の流通、卸売と他の国のものとは、違うシステムだと言われています。慣習的に、流通のスタート(川上)から、卸を通ってバイヤー達のマージンを加えた価格が、小売店に適正価格として設定されます。
しかし、日本のファッションブランドは、FUDといわれるマーケティング手法を使う。不安を逃れるために、商品を買わずにはいられなくなるという心理を利用する手法で、希少価値があればこれができる。昔の裏原系ブランドとかそうなのかな・・・? そのため、ブランド側がそのまま適正価格を決める。この歪んだ利益の設定は、国際経済においてできるものではありませんし、比較もできません。
例えば、卸価格が小売価格の50%-60%だったら、取り扱う量を増やして卸価格の単価を下げたい、というのが小売店ではあります。
ところが、日本の多くのブランドが卸価格を下げることを探求する。マージンが25%-35%くらい。このほとんど利益が出ない価格は、“in-store to the customer”プライスという言い方をされています。原価率が高いということなので、品質はよくなります。
ざっくりとした内訳で、コストとして、高いのが製造費。原価が30%、ブラン企業に40%、小売店に30%という具合です。更に言うと、製造は直接価格設定に影響を与えるのはなんとなくイメージできる。伝統的に、大手高級ブランドの製造方法は、純粋にアトリエで行われるものの、日本の独立したブランドは外部のエージェントからパターンメイキング、製造管理を助けてもらうため数人を雇います。
外部の人間を雇うのは、ブランドのスタイルに新しい風を吹かせるだけでなく、個別の給与と高額の総合予算との関係があります。素材の調達も要因の1つです。ジップ、生地、ボタンなど、パーツの専門企業が多いのは日本の特徴です。また、展示会の参加者が比較的少ない理由がこれです。欧州のブランドのほとんどは、パリで開催されるプルミエール・ヴィジョンといった大きなイベントに参加します。 しかし、日本はそうではありません。
4】カスタマーサーブス
欧米のショップでは客の出入りをいちいち把握してませんが、日本は違う。店舗内の経験価値向上に気を使う。アベイシングエイプのように、非常にクローズドでエクスクルーシブな世界観を店舗内、メンバーズクラブ、クレジットカードのデザイン、限られた顧客のみのイベント・・・その他日本でしか味わえない特別感を顧客は獲得できる。
長いので端折りましたが、以上の要因で価格が高いかもしれない、と記事では説明されています。
ファストファッションかハンドメイドか、という2極のほかに、第3極も将来現れるかもしれないと。そのビジネスモデルの1つに日本のブランドの経営が入れるのか入れないのかどうか、ということでしょう。独特なので、日本のブランド企業のビジネスモデルが通用するかどうかは不明ですが、こういった内容の考察を、私も含めて日本人が発信していかなければなぁと思ったところです。
【via】
Hypebeast
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