■元シカゴ交響楽団首席トランペット奏者 アドルフ・ハーセス逝去によせて
久々の音楽の話。僕がトランペットやクラシック音楽全般を愛し続られるきっかけとなった、大きな存在のことを書きたいと思います。付き合ってくれる方はどうぞ。
アドルフ・ハーセスというトランペット奏者・・・。
先月、この世をさりました。享年91歳。
なんだ、大往生でしょう?と、思う人もいると思います。
でも、この人は80歳近くまで現役。世界的なオーケストラの首席トランペット奏者として君臨していました。なので、ファンであればこの訃報は残念に思うと思います。引退した後も、楽器の研究や育成に励んでいました。数年前に、オーケストラスタディのクリニックのために来日してたかな。
一般的には、モーリス・アンドレとか、ウィントン・マルサリス(クラシックもこの人すごいです)とかのほうが有名かもしれない。でも、アドルフ・ハーセスという存在は、トランペット奏者、愛好家の多くが知っている巨人。好き嫌いもはっきり出る奏者でしたが、僕は大好き!
そして、彼のことを尊敬している人の多くはこう言います、「トランペットの神」だと。
アドルフ・ハーセスは、世界三大オーケストラとも言われている1つ、シカゴ交響楽団の首席奏者を長く続けました。
どのくらい?53年間です。世界でもトップレベルのオーケストラのトランペットパートの首席奏者の席を50年間以上まもった人間は、他にいないと思います。その長いトランペット奏者人生でも、彼の音色がわかりすい演奏動画を引っ張って来ました。ラヴェル編曲「展覧会の絵」と、マーラーの交響曲第5番、ハイドンのトランペット協奏曲です。白髪のおじいさんがアドルフ・ハーセス。どうぞ。
【展覧会の絵:サントリーホール 1990年 26分あたりから聴いてください】
【26分あたりから聴いてください 最後の組曲「キエフの大きな門」が終わった瞬間の日本人ファンの絶叫もすごい】
【マーラーの交響曲第5番から 1997年の演奏 75歳くらい】
見た目も年齢もかなり衝撃的です。管楽器では大事な歯も早くから自分のものではなかったそう・・・。
【探してでも買ったほうがよいオススメの名演 ハイドンのトランペット協奏曲から】
なお、CDはまだ販売していると思いますので、ぜひ探してみてください。
■アドルフ・ハーセスのここがすごい
アドルフ・ハーセスのどこがすごいのか?トランペットを志している人間として、誰もが必ずぶつかる壁があるんですが、それを乗り越えたからです。
具体的に言うと、高い音を外さず安定して出すこと(実際ちょっと外すこともあるが)、太い音を出すこと、汚くない大きな音を出すこと、柔らかいピアノの音を出すこと、どんなに吹いても疲れないこと、技術に支えられた自分らしさを出すこと、これらのことを、どの演奏会でもやり続けること・・・、それが出来た人です。だからすごいんです。この人のハイトーン「ハイC」は、本当に肉厚です。
引退した後の、アドルフ・ハーセス氏のインタビューが先日公開となりました。追悼も含めてだと思います。この映像は9年前のもので、引退直後。
第二次世界大戦中、アメリカ海軍のコンサートバンド(ときに吹奏楽、ときにブラスバンド)にいたというハーセスは、モーリス・アンドレのような、ソロトランペット奏者として世界中で活躍するのではなく、1つのオーケストラという団体演奏に集中。この背景について話しています。
理由として、ベートーヴェン、マーラー、ドビュッシーなどは、シカゴ交響楽団のような一流のオーケストラで本物のクラシック音楽を演奏するのは、そう経験できないというんですね。
野心をもって、ソロオンリーでも良いけどシカゴ交響楽団でしか出来ないことがあるという視点・・・。チームミュージックプレーヤーでも全然素晴らしい、としみじみ語っています。音楽で常に人と関わる必要性、重要性を説いている。アンサンブル=人間社会なんだと。
■アドルフ・ハーセスと金管セクションで作り上げたシカゴブラスサウンド
シカゴ交響楽団の金管セクションは、昔から有名でした。1950年代から、指揮者フリッツ・ライナーのタクトのもと超パワフルなサウンドで他を圧倒。このパワフルさをコントロールして、より洗練されたものに昇華させたのが、次のサー・ゲオルグ・ショルティ。 初の海外公演を成功させます。ちなみに、展覧会の絵の指揮者がショルティです。
メンバーも奇跡のめぐり合わせ。揃っていたんですね。アドルフ・ハーセスとシカゴ交響楽団のチューバ奏者だったアーノルドジェイコブスを中心に、トロンボーンのフリードマン、ホルンのクレヴェンジャーがコラボ。他のオーケストラでは決して真似の出来ないシカゴブラスサウンドを完成させます。
テヌート(音符一杯長く吹く)よりベルトーン(はっきり目で、余韻を残す)で、クリアというのはシカゴ交響楽団の金管セクションの特徴。それはアンサンブルとして歌声のように、と。アーノルド・ジェイコブスは話していたそうです。
ハーセスも歌心こそ大事、とインタビューで語っています。歌詞をつけてクラシックの曲を歌っているのが面白い。
アドルフ・ハーセスが演奏した曲は、皆私の思い出です。
ハイドンのトランペット協奏曲、ラヴェル編曲の「展覧会の絵」、マーラーの「交響曲第5番(全般:5番だけでも指揮者や年代が違うとテンポなどが異なる)」、ベートーヴェンの「交響曲第5番(運命)」、チャイコフスキーの交響曲全般、サンサースの「交響曲第3番(オルガン付き 最終楽章の一部を1オクターブ上で吹いた)」、ブルックナーの交響曲全般(特に朝比奈隆指揮)、プロコフィエフの「キージェ中尉」、バルトークの「管弦楽のための協奏曲」、リヒャルト・シュトラウスの「英雄の生涯」、「アルプス交響曲」、ドビュッシーの「海」、アンサンブルで、ガブリエリのなど・・・。
もう、あげたらきりがないのですが、この人と同じ時代を生きてきたことが嬉しかった。伝説的なトランペット奏者は、まさに伝説となってしまいましたが、新たなトランペット奏者がまた時代をつくっていってくれることを信じています。巨星墜つ、ありがとう、ハーセス、永遠に!
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