■見栄がなくなったって偽ブランド品ははびこる 価値感の共有こそ大切
最近、ヤフーオークションを中心に、また偽ブランド事件が起きています。
愛媛県警は12日、高級ブランド「エルメス」の偽物をインターネットオークションで販売したとして、商標法違反(商標の侵害行為)の疑いで、松山市南梅本町の会社社長の男(43)ら3人を逮捕。販売拠点とみられる愛媛県伊予市のマンション一室など県内14カ所を家宅捜索した。 県警は、男らが2004年ごろから全国の約1万3000人に販売し、1億数千万円を売り上げたことを確認。押収した偽商品など数百点を分析し、製造元や入手経路を追及する。調べでは、男らは共謀し、07年9月21日、松山市の30代の男性に、インターネットの「ヤフーオークション」を通じ、偽のエルメスのポーチ1個を3340円で違法に販売した疑い。3人とも「間違いありません」と容疑を認めているという。男らは正規品の1―3割程度の格安の値段で出品。「こちらはエルメス社の製品ではありません」とただし書きをしていたが、商品には本物と似た刻印が付いていた。 |
まあ、新品のエルメスのポーチが3,340円で買うことは99%無理な話ですが、
こういう安さにつけ込んだ犯罪が後を絶ちません。そんな中、以下の記事
を見ました。
偽ブランド品「見栄張りたい奴がいる限り消えない」/アメーバニュース
以前は露天で平然と売られていたコピー商品。最近は取締も厳しくなり見掛けなくなったがそれでもコピー商品はなくなっていない様子。「そりゃ、なくなる訳ないよ。偽物でもブランド物を持ちたいなんて連中が消えない限りはさ」と話すのは過去にブランド物のコピー商品を扱っていた男性。 「ブランド物だから高いのに、それを安く買いたいなんて奴がいる限り、この手の商売は安泰だよ。『偽物だってバレなきゃいい』と見栄を張りたい奴らがいっぱいいるんだもの、そういう連中の需要が完全になくなることはないからね。今は危ないから手を引いたけどリスクを考えなければ商売としては悪くない。不景気になって激安店やリサイクルショップでブランド物を買い漁る連中が増えたから、これからさらに需要は高まっていくんじゃないかな」。 高級ブランド商品が安く売られている、なんてことはまずないのだから安く売っている場合は何かあるのは当たり前か。 |
結論から言うと、見栄を捨てたところで偽ブランド品はなくなりません。
むしろ偽ブランド品を知ってて所持している人は見栄を張っているので
しょうか?というところから、この元業者の考え方を疑いたくなりますが、
あえて言うと見栄を張るなら、無理してブティック行って正規品を 買うでしょう。
以下、詳しく述べますが、庶民層の中で起きているアウトレットや廉価
版のアイテムと偽ブランド品との明確な立てわけをしなければ、偽ブランド品
はなくなりません。偽ブランド品というのは、なんとひどい代物よ、という価値感
を植えていくしかありません。今エコブームが起きているでしょう。やり方
にも賛否両論ありますが、例えば、こういうエコブームみたいな価値感を
ブランド企業、行政が一体となってアンチ偽ブランド品運動して教育し、
その理念を共有していくことを提案したいと思います。
見栄を張るとか、張らないとか、そういう短絡的なことで片付けないで、
売り手と買い手がブランドについての正しい認識をつけて、正しく買うため
の知恵をまずつけることです。あるいは、各スーパーブランドが、お札の
ように、すぐに見分けが付く真似できない細工をする必要があるかもしれない。
これは縫製といったミクロな単位ではないです。一方で、ブランド品全てが
どんなことがあっても定価でしか買えなかったとしたら、多くのブランドが今後
消滅するでしょう。それは、ブランド消費大国、
日本の消費の2極化があるためです。
2極化の1つは超リッチ層。アルマーニ銀座タワーなどにある、衣食住という
新たな市場の確立。これは、外商が来るような限られた富裕層からなる市場
です。もうアイテムだけでは飽きたので、サービス、生活をブランド化してしま
おうという発想。
もう1つは、その他大多数の庶民層。リッチ層に憧れるけど実際1,000万円
だして買うのは無理。だから、廉価版を買うんです。この庶民達からなる
市場は、ロングテールや、他いろいろな種類のニッチ市場の集合体で構成
されています。実際、私も仕事上である超高級ブランドのリッチ層の行き詰ま
りに困って、一個数万円単位のアイテムを打ち出す、という戦略転換に
立ち会ったことがあるので、わかります。現在では、超リッチ層市場がまた
元気ですけどね。どちらも必要なんですよ。ブランドにとって。
日本人の心理の中では、ブランド=見栄であるときがあれば、
ブランド≠見栄のときもあるんです。つまり複雑な消費矛盾が起きているん
です。日本人は、相応にしてブランドに対して見栄はあります。相手よりも
高級なものを持って優越感に浸りたい人もいるでしょう。値段が高いから
ブランドなんだ、という意見に100%否定するつもりもありません。高いから
買うという消費行動は実際ありますから。
でも、それは90年代の話なんですよ。インターネット社会が確立されてから
流通革命や商社の中抜きが起きて、安く手に入るブランドもあるし、
アウトレット品の台頭が、庶民がブランド品を買う機会として現れたわけです。
これは、実際、売上を伸ばしているし、様々なバックボーンを持つ消費者が
循環して大きな市場となっているので、実は各スーパーブランドにとっても
大切な収入源なんですよ。問題は、見栄ではなくジレンマなんです。
以下で詳しく述べます。
それは、庶民にもどうしても手に届かないアイテムというものは、たくさんあって
偽物でもいいつくりをしていれば欲しい、という偽ブランド品市場が、立派に存在
しちゃっているんです。例えばクロムハーツ。クロムハーツと同じシルバー925
を使い、アジアの職人が彫って売ると、約100,000円が3,500円で売れるんです。
偽物でもクオリティーが高いなら欲しいという消費者はたくさんいる悲しい
現実があるんです。2年前の政府の調査では、約半数近くが偽ブランド品
に対して容認の態度を取った結果が出ましたから。
これは、庶民層の消費者の、見栄がどうこうとかじゃなくてジレンマなんですよ。
このジレンマを取り除かなければ、絶対偽ブランド品はなくなりません。この
ジレンマを取り除くための1つの手段として、始めに書いたブランド品の認識と
偽ブランド品への考え方を価値感として教育していくしかないと思います。
規制ももちろん大切です。でも規制、規制と言っていてもなくなることは
ありません。だから、いろんな方法で何とか1円でも安くブランド品を手に入れ
ることを考えている本ブログの意義も、この点で大きいと自分では自負して
います。少なくとも、私は絶対偽ブランド品を買おう、なんてことは言いません。
再度結論を書きますが、アンチ偽ブランド品の価値感を共有する体制を
整えることが、偽ブランド品が消滅する1つ重要な方法だと思います。
価値感は、人生経験によって成り立った考え方、捉え方ですが、脳科学
的に言うと、感情だとか、もっというと情動みたいなところまで遡った
非常に複雑に人間の中で形成されている反応みたいなものです。
この反応を、教育などによって植えつけることが大切。
正規品のアウトレット>>絶対に超えられない壁(物理的
だけなく感情的かつ倫理的に)>>精巧に作られた激安の偽ブランド品。
最後に。昨年ゴルバチョフ元大統領が、ルイヴィトンの広告に出ました。
これは、ルイヴィトンのロシア戦略もあるし、威厳みたいなイメージ戦略
もあると思います。しかし、僕はゴルバチョフ氏が出た意味というのを、もう少し
違う角度で見たい。それは、金持ちだろうが、なかろうが、品質保証がされて
いて、歴史と伝統によって築かれた世界を、限られた人間にだけ受けるので
はなく、誰人たりともいえども楽しむ権利を有することがメッセージとしてある
のではないでしょうか。それが、ソ連の政権を民主化の方向に持っていく、
ペレストロイカ(構造改革)を行い、ノーベル平和賞を受賞したゴルバチョフ
氏の存在として、私は感じてなりません。
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お土産問題も深刻ですね。
中国に出張した友人から聞きましたが、北京オリンピックがあるため、屋台的なものは撤去され昔ほどなくなっているようです。しかし、さらに精巧な偽物があるようで、本物として売っているらしいです。新しい問題。
ブランド自身がプレタポルテに力を入れ初め、稼ぐためにライセンス商法やロゴの力に頼る方法(LVMH社のように)に移ってしまったのも偽ブランドを作りやすい土壌にしてしまったきます。
皮革製品や小物が儲かるからとブランドの本質を失って来たのも原因かなと思います
ロゴだけ貼って、つくりガタガタの偽物でも喜ぶ人がいるのは確かにまだあります。ロゴ至上主義も幾分か変わっていったらいいんですけどね。