■ショーと購入の半年間のタイムラグがなくなるかも?その是非は?
日経ビジネスオンラインで、パリコレクションのオンライン進出について、
「ショーを“門戸開放”したファッション業界の意図」と題して記事が書かれ
ています。その議論の的となっているのが、先日お伝えしたアレキサンダー
マックイーンの2010S/Sパリコレクションです。実際ランウェイショーを行い
ながら、そのショーがライブ中継で配信する、またショーの背景には大型
スクリーンを用意し、誰でもディテールが見れるようにした、工夫されたもの
でした。「誰でも、ランウェイショーの最前列」。これが視覚的に可能となった
わけです。 ちなみに、アレキサンダーマックイーンのランウェイショーの
動画は今シーズンのファッションフィルムトップ10で1位に輝いています。
ここまで凝っていなくても、ルイヴィトン、バーバリー、エンポリオアルマーニ
などのプレタポルテ(既製服)は、動画で配信されたことはあります。
そうなると、もうパリコレクションのランウェイショーのオンライン化は止まら
ない?ということについて議論になるわけですが、日経ビジネスオンライン
を参考にしつつ、僕なりにパリコレクションのオンライン化についてを考えて
みました。
パリコレクションのオンライン化が進む理由。これに関しては、4つ理由がある
んじゃないかと考え、日経の記事を参考にしつつあげてみたいと思います。
1つ目はインターネットを介して1人でも多くの人にブランドをアピールできる
という点。
2つ目は、世界経済不況によるコストの削減です。設備費、人件費が圧倒
的に安く済む。広告費を削減したい企業側としては、web動画は効果も期待
できる。実際に、経営破綻したヨウジヤマモトは、長年参加していたパリコレ
クションを断念したことは、記憶に新しいです。
3つ目は、メディア関係者や、レビューにしばられないで、消費者にダイレクト
に訴求することができること。ファッション誌の存在意義も、パリコレクションに
関しては以前よりも影響力がダウンしているかもしれないことを、示唆して
います。
4つ目は、そもそもプレタポルテのランウェイショーは必要?という意見。
フランスオートクチュール・プレタポルテ連合協会ディディエ・グランバック会長
は、「プレタポルテは消費者向けにインターネットやシーズン直前のショーで
案内を流し、直接購買につなげればいい。」と、一刀両断。そうすれば適正
価格で販売できる、とも述べています。
ポールスミス氏は、昨今のランウェイショーに対して、too much ビジネス
too much セレブリティという、一部のお祭り騒ぎに警鐘を鳴らしています。
まず「服」ありきという、原点回帰の重要性。
以上、私なりに理由をまとめてみました。
【夏に秋冬のコレクション、立ち上げのタイムラグがなくなる?】
極端に言ってしまうと、東京ガールズコレクションのように、パリコレクション
も将来、ライブ動画を見ながら、モデルが着ているアイテムを購入してしまう
ことができるシステムができあがるかもしれない・・・ということです。
そうすれば、夏に秋冬のコレクションを行ったりしなくても済む、ということ
です。ブランド側としては、すぐにでも売上が上がったほうが嬉しいわけ
です。合理的な方法論。半年間のタイムラグがなくなります。
このことについては、ドルチェ&ガッバーナが以前声をあげたと紹介しまし
た。そもそもなんで夏に冬のアイテムを立ち上げなくちゃならないんだ?
これが本音。でも、いままではちょっとしたタブーでした。
【オンラインは知覚リスクも、定価でのオンラインストア販売は厳しい】
イヴサンローラン、ヴィクター&ロルフなんかは、ネット限定のショーも
始めています。ショーがだんだんオンラインのほうにシフトしていくかも
しれない、そんな内容も記事に書かれてあります。
これらはグッチグループの関係者の話で、先日ご紹介した
高級ブランドが生き残る方法として、ロゴを目立たなくする、ということを
提案しているCEOのRobert Polet氏などの戦略の1つです。厳しい財政
規律を全社に課し、オンラインの方に力を入れているためです。
ただ、オンラインストアは現品に触れないリスクがあるし、定価で売る
のは難しいようです。 まだまだこの知覚リスクは大きいですね。
さて、このパリコレクションのオンライン化。賛否両論ありますし、文化の
華であるパリコレクションが、どんどんオンライン化してしまっていいのか?
その場の空間、直接肌で感じてランウェイショーの意味があるんじゃない
のか?
こういう考えはあると思いますし、僕は一理あると思います。でも、座って
いるのは、一般の方々ではなく 有名セレブだったり、メディア、バイヤー、
批評家なんですけどね(汗)
【最後に】
福助の藤巻幸夫氏の言葉を思い出すんです。インターネットがなかった
昔は、ランウェイショーの画を見るだけで何ヶ月も待った。今は、誰でも同時
に見れるし、個人でファッションに取り込むこともできる。そういうことを否定
することはできない、1つの流れ。ファストファッションもそうだし、消費者の
選択の幅が拡がった。まさに、従属意識から「個」のライフスタイルの誕生。
だから、生産者側は消費者の多様性に応えていかなければいけない、とい
うことです。
パリコレクションも、時代の流れによって岐路に立たされているのかも
しれません。僕自身、全てオンライン化になるのはさすがに寂しいですし、
そうならないとは思いますが、無理してランウェイショーに出て散っていく
ようなことがあっても、本末転倒ですし・・・。バランスが必要なんだと
思います。パリコレクション(ランウェイショー)・・・必要だと思いますか?
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